ULOG学園 (ページ28)

今日:3 hit、昨日:5 hit、合計:28,590 hit

先輩と後輩ページ28

「……愛月先輩。なんでランニングとかあるんですかね。わたくし里山この時間を月先輩といちゃつく時間に変えたいのですが」
「うーん、基礎体力つけるためかなぁ? ふふふ、波ちゃんはホントに月君のこと好きだねぇ」

多分今の会話でランニング中だと思う人はすごく少ないと思う。
そう、現在私は愛月先輩とランニング中。
ランニングに対する不満をぶちまけて、答えなんて求めてない質問したのに真面目に答えてくれる愛月先輩が可愛くて悶え中でもある。

「……うん、可愛い」
「ん？何か言った？」
キョトンと首を傾げるその姿もかわいいですね、私月先輩と付き合ってなかったら愛月先輩と付き合ってました、絶対。

「わはー!!バド部サイコーですね、先輩!!!」
ランニングのテンションを上げるべく声をいつもより張り上げる。
周りを見ると、陸部やらなんやら他の部活の視線が一気に私に集まる。
なんだよ、なにガン飛ばしてんだよ怒るよ、里山怒っちゃうゾ。

愛月先輩のほうを向くと、必死に人差し指を口の前に立てるジェスチャーをしていた。静かにしろ、ってことか!!なるほど、絶対やだ!!

必死にシーッてやる愛月先輩が可愛くて、物凄くもっかい騒ぎたい気持ちになったけど、その衝動は抑えてあげた。私優しいなぁほんと。

愛月先輩はホッとしたような顔をする。ああ、やっぱりもっかい騒いどけばよかった。

そもそも、私達が所属するバドミントン部はなんとも素晴らしいことに部員数が2人。愛月先輩と私だけの果たして部活として認めていいのか聞きたくなる人数なもんで。

この学校の、部員が一人でもいれば部活がつくれるという謎システムのおかげで私と愛月先輩のみのバドミントン部は成り立っている。

何とかして部員数を増やしたいものだが……

なんて考えていると愛月先輩は私に声をかける。

「波ちゃん。部活楽しい？」
その問いかけに対する私の答えはひとつしかなかった。
「もちろん、です!!」

今は別に部員数が二人でもいいのかもしれない。

「そっか、ならよかった!」

だって、こんな素敵な先輩がいるのだから。

◇担当…斉藤(波)