ULOG学園

竹雀の憂鬱 ページ27

担当 月鏡




「うあああああ、もう分かんねえ!」

手からするりと教科書が滑り落ち見事に竹雀月の顔面にヒットした

４時間目が終わり、学園内が一番賑やかになる昼休みに先ほど習ったばかりの英語の単元を見直してみるものの1分で断念
ここまで集中力がないものかと自分で自分を疑う


「ちょ、大丈夫ライト?いきなり大声出したけど…」

「ジョバンニ大丈夫?飴ちゃんいる?マンゴー味あるよ」

「ライトでもジョバンニでもないけどありがとう。飴ちゃん下さい」

一緒に昼食を食べていた灰鷹叶(たかちゃん)、神月風(ふうちゃん)が心配そうに話しかけてきた
勉強したあとには甘いもの、と言いながらもらった飴ちゃんを口の中に入れる
ほんのりと甘い香りとマンゴーの爽やかな甘味がいっぱいに広がると自然に頬が緩むのが自分でもわかった

「ていうか、なんで月はいきなり勉強なんて始めたの?」

サンドウィッチ片手に薬師寺陽比(はるひ)が不思議そうに訪ねてきた

「う〜ん、いや、なんかこのままだとやばいかもな〜とか
　なんていうか‥‥後輩にも彼女にもカッコ悪いところは見せたくないなって思って」

普段あまり真面目なことを言わないため、周りの同級生は戸惑っていた
何よりこんなこと思ってたっけ?と自分が一番驚いている


「月くんは彼女ちゃん思いなんだね」

隣に座っていた日向愛月(あるちゃん)が目を細めてにこりと笑顔を向けた
まるでアニメのようにその場いっぱいに花が咲いているんじゃないかと思うほど素敵な笑顔だった

「そ、そうかな!?
　いや、波ちゃんのこと大好きなのは変わらないけど‥‥っ
　その、なんていうか‥俺、ちゃんとリードできてるのかなって、不安で…」

「大丈夫だよ、月くんならきっと
　そんな月くんだから好かれてるんでしょ?
　ほら、自信持って!ナヨナヨしてる子は嫌われちゃうよ!」

「は、はいっ!」

ナヨナヨという言葉を聞いて不思議と背筋がピンっとなった。なぜが陽比も


「ほらほら、昼休みが終わっちゃうよ!
　みんなでコーラでも飲んで楽しもう!」

バンっと勢いよく開かれた扉からは片手にコーラを抱えた杉山らぁこ(らあちゃん)が仁王立ちをして出てきた

そそくさとと可愛い紙コップを渡されコーラが注がれた




勉強は帰ってからしよう、そう思い渡されたコーラを飲んだ

今はこの日々を楽しもう

大好きな友達とたくさんの思い出を少しでも作るために

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