おめがばーす-3-【usss】【短編集】

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何がきっかけだったとか、そういうのはよく覚えてない。
多分口寂しいからとか、吸ってる自分がかっこいいからとか、そういうくだらない理由。

多分1番は、早く大人になりたかったから。
煙草を吸えば早く大人になれるものだと思っていた私は、それこそ子供っぽい考え方しかできていない。
早く大人になってどうするの？って感じだけど、何となく子供のままは嫌で、みんなに置いてかれたくなくて、何となく吸ってみた。

最初は苦いし噎せるし、こんなもの吸えたもんじゃないと思っていたけど、ふとした瞬間に「あれ、煙草って美味しいじゃん」って思っちゃって。
というか煙草を美味しいと思える自分に酔っちゃって、それから毎日三本は吸うようになった。1日で1箱吸う時もあったし、それ以上も…多分ある。

その時点でなんか可笑しい方向にいってるなーとは少し思い始めてたけど、何だか後戻りできない所まできていて、そのまま煙草はずるずると3年間ほど続けている。
身体に良くないっていうのも、世間から批判的な目で見られることがあるっていうのも知ってたけど、何となく、やめられなかった。

「お前、また吸ってんの？」

うらたさんは少し嫌そうな顔をして、ベランダで煙草を吸う私を見た。

『うん、うらたさんもどう？』

「吸わねーよ。てか煙草不味いし」

『そうかな、おいしいけど』

「舌バカになってんだよお前。今日はもうやめとけって」

うらたさんは、私が煙草を吸うことをすごく嫌がる。
そもそも煙草の匂いとかそういうのがあんまり得意じゃないらしくて、たまに吸っている途中の煙草を取り上げたりしてくる。
その後は「歯磨きしてきたら」って遠回しに煙草臭いよっていうのを言ってきたりもするから、私は大人しく歯磨きをして、
そこでやっとうらたさんは許してくれるのだ。

煙草を吸った後にキスをするとうらたさんは怒る。「お前煙草くせえんだよ」って。
本当に怒ってる訳ではなさそうで、でもちょっと嫌がってる。

『うらたさんが言うなら今日はもうやめようかな』

「…ふーん。ちょっと聞き分け良くなった？」

『どこかの誰かさんが怒るから、一応ね』

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