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. sm ページ37

昔から、双子の兄……志麻のことは嫌いだった。
私と同じような顔と性格をしてる癖にずば抜けて頭がいいし、運動もできるし、先生からも評判がいいし。

彼が至って平凡な人間だったら少しは好きになれていたかもしれない。私が志麻と比べられることも無かったのに。

その癖馬鹿みたいに優しくて、私が志麻に嫌味を言っても笑って許してくれる。どうやっても彼には勝てないのだと、痛いほどに分からされるのだ。


「俺、Aのことだーいすき」


わたしは志麻のことなんて、だいきらい。





「おはよ、A」

『……おはよう』

朝、玄関で靴を履いていた私の顔を覗きこんできた志麻に顔を顰めそうになるのを抑えて靴紐の方へ視線を戻す。

こっち見ないでって言うと志麻は怒られた子犬みたいな顔をするから、何となく喉の奥で留めておいた。

別に、志麻が悲しそうな顔をするのが見たくないとかそういう理由じゃない。
そういう顔されるとこっちまで変な気持ちになるから、面倒なだけ。

「俺も一緒に行っていい?」

『どうせ同じ学校なんだし、勝手にしたら』

「あ、カバン持ってあげよか??重いやろ」

『い、いいってば、志麻も同じ時間割じゃん』

そう?と首を傾げる彼から顔を背けて、私は扉を押した。

ちょっと早く生まれたくらいですぐお兄ちゃんぶる志麻も苦手。わたしは子供じゃないのにすぐ何かと世話をしたがるし、ちょっとしたことで煩いくらいに褒めてくる。

頭を撫でて「えらいえらい」って言われるのは、少しだけ好きだけど。

「あ、今日佐藤の授業あるやん…あいつ話長いから嫌いやねん」

『うん』

「あ!!しかも俺提出するプリントすんの忘れてたし」

『うん』

適当に話を聞き流す私を見て、志麻は眉を下げてちょっと寂しそうにした。

志麻が悲しそうだからとかそういうのじゃなくて、この変な空気が嫌だから、私は仕方なく口を開く。

『……わたしのプリント、写せば』

「え、ええの?」

『別に、減るものじゃないから』

そう言うと、志麻は心底嬉しそうに目尻を蕩けさせる。
それは私がプリントを写させてくれるからなのか、私が志麻に優しくしてあげたからなのか、どちらかは知らないけど。

「ありがと、助かるわ」

『うん』

「…放課後パンケーキでも食べに行こか」

『……し、志麻の奢りなら行く』

「うん、それでええよ」

私もほんとは、志麻の優しいところが好き。

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いろみず(プロフ) - ぐわぁぁぁ(尊死) (2021年6月27日 19時) (レス) id: be92b83ba0 (このIDを非表示/違反報告)
もものせ(プロフ) - ぷちゃさん» 公開しました!!御報告ありがとうございます! (2021年6月19日 0時) (レス) id: 4421996c2f (このIDを非表示/違反報告)
ぷちゃ(プロフ) - コメント失礼します。しまこちゃんのお話の1話目が抜けている気がするのですが、追加していただけないでしょうか、? (2021年6月18日 23時) (レス) id: 09d034a7a0 (このIDを非表示/違反報告)
乃々夏(プロフ) - 100,000hit おめでとうございます!!!すごすぎますね!!! (2021年3月26日 21時) (レス) id: e426f8e368 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 1の時初コメした者です…! 久しぶりにこの作品を見つけて読んでみるとやっぱり最高でした…!!更新待ってます! (2021年3月21日 23時) (レス) id: b5c026bc9f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:もものせ | 作者ホームページ:なし  
作成日時:2020年10月5日 1時

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