おめがばーす-3-【usss】【短編集】

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「Aちゃん甘い匂いする…」

「おい坂田Aの匂い吸うな、おい」

うらたくんから負のオーラが出てるのは気づかなかったことにして、私は控えめに坂田くんの肩を押した。

いくら寒かったとはいえ汗とかかいてるかもしれないのに、というかそもそも甘い匂いなんてしてるのかな。

『ちょ、ちょっと坂田くん』

「ほらAも嫌がってる、離れろよ坂田」

「えー！嫌やまだ幸せな気持ちでいたいー！！」

うらたくんに無理矢理剥がされた坂田くんは何処か不貞腐れたように頬を膨らませる。
でもその後にすぐ手に持っていた赤い箱を見て、また嬉しそうに表情を緩ませた。

「家に帰ったらゆっくり食べるから！！そんでもって明日感想言う！！」

「お、俺も、家でゆっくり味わいながら食べるし……あ、なんならホワイトデーにチョコケーキとかつくってくるし！」

『うーん、ガチのパティシエに作られたら負けちゃうよ私のチョコ』

まあ何はともあれ、喜んでくれたのなら良いのだ。
そんな事を心の中で呟いてうんうんと頷く。こういうのは気持ちが大事なんだから。

「でもほんまに頑張るでホワイトデー！！」

「やるからには美味いやつ作りたいよな」

自信満々な2人に「そんなに大変なやつ作らなくてもいいのに」なんて言えるはずもなく、私はただただ黙ってホワイトデーにそれを受け取るしかないのだ。

『あんまり無理、しないでね』

「全然大丈夫！！Aちゃんの為やから！」

「…坂田は好意むき出しにしすぎ、まあ俺も一応ホワイトデーはお返しするけど」

2人はチョコレートのようにあまくて柔らかい目線を私と絡ませて、ふにゃりと目尻を蕩けさせた。


「俺のチョコ、受け取ってね」


テーブルの上に置かれたホットチョコレートがとっくに冷めているのなんて、気づきもしないだろう。



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HAPPY Valentine's-Day!!

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