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『つ、番、じゃないの』
「なにそれ、番がよかったの？」
『そ、そんなわけない！！』
慌てて否定すると「俺は番でも別にいいけど」なんて熱を孕んだ瞳を向けられる。
「実は俺、一目惚れしたんだよね。Aさんに」
『…な、なんで…わたしたち、話したことないですよね』
私の言葉に目を細めて首を傾げる彼がどうしようもなく怖い。
「俺はずっと前から見てたよ、入学式で見かけた時から」
顔を少し赤くして、私の頬に手をするりと添える。その瞬間に、自分の本能がこいつは無理だと叫んだ。吐き気に近い気持ち悪さを覚えてひっと喉が鳴る。
なにそれ、そんなのしらない。
助けてほしい、と思った瞬間に浮かんだのはいつも優しいあの人の顔だった。
『う、うら、うらた、』
「……へえ、誰それ？彼氏？うらたくんって誰？」
うらたの名前を口にすると、彼は少し眉を寄せたもののすぐにぱっと笑いかけてくる。
『う、うらたは、かれし、じゃない…』
「ふーん？……あ、もしかして好きな人？」
彼にそう言われた瞬間、ぼっと顔が赤くなる。
ちがう、と言おうとするが、その言葉が喉に突っかかって出てこない。
上手く喋れないまま口をぱくぱくとさせていると、彼は興味深そうに目を細めた。
「図星？そうだよね、だって今顔真っ赤だよ」
その言葉で更に赤くなる顔を隠すように首を振る。
彼は「妬けちゃうなあ」と私の腰を引き寄せて、頬にキスを落とした。
びく、と身体が反応して彼を拒絶した。
『えっや、え、なに、や、』
「彼氏いないならいいでしょ、俺と付き合おうよ」
『や、ほんとにやめて、ねえ』
そのまま手首を壁に押し付けられて、首筋にも同じようにキスをされる。
きもちわるい、きもちわるい、やだ、
涙がぼろぼろと出てきても、彼がやめる様子はない。
『うう……や、……うらた、うらた………』
ちゅ、ちゅ、と彼の頭が動く度に嫌なリップ音がする。わざと立ててるのかってぐらい頭に響いて、また涙が溢れる。
「そんな声出るんだ、かわいいね」
『きかないで、きもちわるい、ばか、ばか、』
だんだん力が入らなくなってきて、ずるずると地面に座り込む。
そのまま彼も私を逃がさないように膝をついて手首を掴んでいる。
真っ白になっていく思考に、「もういっそ気を失った方がいいかも」なんてこの後のことも考えずにぼーっとする。
目を閉じようとすると、不意に気持ち悪い感覚が無くなった。
いや、正確に言うと彼の匂いがしなくなったのだ。
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いろみず(プロフ) - ぐわぁぁぁ(尊死) (2021年6月27日 19時) (
レス) id: be92b83ba0 (このIDを非表示/違反報告)
もものせ(プロフ) - ぷちゃさん» 公開しました！！御報告ありがとうございます！ (2021年6月19日 0時) (レス) id: 4421996c2f (このIDを非表示/違反報告)
ぷちゃ(プロフ) - コメント失礼します。しまこちゃんのお話の1話目が抜けている気がするのですが、追加していただけないでしょうか、？ (2021年6月18日 23時) (レス) id: 09d034a7a0 (このIDを非表示/違反報告)
乃々夏(プロフ) - 100,000hit おめでとうございます！！！すごすぎますね！！！ (2021年3月26日 21時) (レス) id: e426f8e368 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 1の時初コメした者です…！ 久しぶりにこの作品を見つけて読んでみるとやっぱり最高でした…！！更新待ってます！ (2021年3月21日 23時) (レス) id: b5c026bc9f (このIDを非表示/違反報告)
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