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(miso様、リク) ※百合です
、
「すきです」
淡い紫色の髪のかわいらしい女の子は、制服のネクタイを握りながらそう告げた。
向こうからは運動部の人たちの掛け声が微かに聞こえてきて、セミの鳴き声も耳に入ってくる。
一瞬時間が止まったような、じりじりとした暑さがなくなったような、そんな気がした。
彼女は真剣な目でわたしを見て、また口を開く。
「先輩のことが、すきです」
私は少し、いや結構驚いた。
後輩の女の子に告白されるなんて思ってもいなかったから。
『え、えーと…』
「つきあってください」
彼女は小さく一歩前に出て私の手を掴んだ。
彼女の頬は赤く染まっていて、私も思わず顔を赤くする。
どうしよう、なにこの積極的な子。
というかこういう人、つい最近も見たような_____
「Aのこと、なんか好きやわ」
「俺と付き合って」
彼女の胸元に目線を落として名札を見ると、そこには「月崎 志麻子」と書かれていた。
そして目元のかわいらしい涙黒子を見て、私はなんとなく納得する。
『もしかして、月崎くんの妹さん?』
私がそう言うと志麻子ちゃん?はきょとんとして私を見る。
そしてその後「あ」と声を上げてあわあわと私から手を離した。
「そうです!!お兄ちゃん…えっと、月崎志麻の妹、です!」
『そうだよね、なんか雰囲気似てると思った〜』
そう言って彼女に笑いかけると、しまこちゃんは顔を真っ赤にする。
ついでに「すき…」と小さく呟いて俯いてた。
「あの…告白のおへんじ、ほしいです…」
『ああ、えっと』
何を喋ろうか迷っているとしまこちゃんはまた手を掴んで私を引き寄せる。
急に距離が近くなって少し顔が熱くなったのが分かった。
睫毛長い、顔綺麗、かわいい。
月崎くんを連想させる涙黒子は近くで見るともっと彼女のかわいさを引き立てているように感じた。
「わたしと付き合ってください、先輩」
『し、しまこちゃん、ちょっとまって』
「先輩の笑ってる顔とか見るとかわいいな、好きだなって思います、好きです先輩」
しまこちゃんの雰囲気がどうしても月崎くんと重なってしまって、心臓が跳ねる。
どうしよう、女の子にこんな迫られて、それなのにどきどきしてる、どうしよう、
「わたしには先輩しかいないんです、大好きです」
真剣な顔でそう話す彼女に思わず頷いてしまいそうで怖い。
そもそも女の子同士なんて考えたことがなかった。
とは言っても好きな人がいるわけでもない。
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いろみず(プロフ) - ぐわぁぁぁ(尊死) (2021年6月27日 19時) (レス) id: be92b83ba0 (このIDを非表示/違反報告)
もものせ(プロフ) - ぷちゃさん» 公開しました!!御報告ありがとうございます! (2021年6月19日 0時) (レス) id: 4421996c2f (このIDを非表示/違反報告)
ぷちゃ(プロフ) - コメント失礼します。しまこちゃんのお話の1話目が抜けている気がするのですが、追加していただけないでしょうか、? (2021年6月18日 23時) (レス) id: 09d034a7a0 (このIDを非表示/違反報告)
乃々夏(プロフ) - 100,000hit おめでとうございます!!!すごすぎますね!!! (2021年3月26日 21時) (レス) id: e426f8e368 (このIDを非表示/違反報告)
あい - 1の時初コメした者です…! 久しぶりにこの作品を見つけて読んでみるとやっぱり最高でした…!!更新待ってます! (2021年3月21日 23時) (レス) id: b5c026bc9f (このIDを非表示/違反報告)
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