▽ ページ8
・
「出るのおっそ。はよ出てよ」
耳にあてたスマホから聞こえるのは、倫太郎のクスクスと揶揄うような声。
なんか…わぁ。…なんか。
久々に聞く倫太郎の声に、なんとも言えない気持ちになる。しばらく聞いていなかったこの落ち着く声。
『倫太郎がいきなり電話かけてくるからじゃん。びっくりしたわ』
「文字打つのめんどいって先に送ってきたのはAじゃん」
…ん?今なんか、
『そうだけど…まさか電話してくるとは思わなかった』
「…嫌だった?」
『ふふ、いや全然。むしろ嬉しいよ』
「感謝してよね」
『さっきの言葉やっぱなしで!!』
やっぱどれだけ経っても倫太郎は倫太郎だ。その当たり前の事実が凄く嬉しく感じる。
『倫太郎の声聞くの久々だわ』
「俺もAの声、久々だよ」
2人でクスクス笑い合う。
それにしてもなーんか、違和感が…
『そいえば倫太郎って休みの日何してるの?』
「えー……寝たり、たまに遊び行ったり」
『!!っあー!!!』
やっぱそうだ!なんか違和感があると思ったら…!!
「!?いきなり大声出さないでよ…どうかした?」
『倫太郎!訛ってる!!』
「え」
『あははっ、なんか違和感あると思ったら!り、倫太郎、関西弁と訛って変なイントネーションなってる…!!ふはっ、』
「うわ、最悪」
倫太郎の声色から、ゲンナリという表情をしているのが容易に想像できた。
やばい、おもしろすぎる。あの倫太郎が!どこに行っても涼しい顔で頑なに我を貫き通しそうなあの倫太郎が、関西に染まってきてる…!!
笑いが止まらずに、ずっと腹を抱えて笑い続ける。
『まじか!倫太郎が、ぷははっ!』
「変な笑い方」
『倫太郎にだけは言われたくない』
お前がオッホホって奇妙な笑い方したの聞いたことあるからな。正直こんな笑い方するやつ初めてでめちゃくちゃビビったわ。
『倫太郎って関西弁使わないの?』
「使わないよ」
『なんでー?』
「エセ関西弁になるから絶対いや」
『ふは、確かに倫太郎に関西弁は似合わないかも』
「あれ、また俺貶されてんの?」
『ふふ、ほめてるんだよ』
そういう事にしといてあげる、と小さくクスクスと笑う倫太郎。
程よい低音で、落ち着いた優しい声。
耳元から聞こえてくる倫太郎の声は心地よくて、なんだかトロン、とした気分になってくる。
・
212人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
宮兄弟最推し - 最近ハイキューのオタクになって、読むの、投稿されてかなり遅くなりましたが、最高です!胸の奥がギューンてなりました。 (5月20日 20時) (レス) @page48 id: e2e9177bef (このIDを非表示/違反報告)
名無し23523号(プロフ) - めちゃくちゃリアル、私も時々寝落ち通話する男の子がいるのでわかる〜!!ってなりながら読んでました笑面白かったです! (2022年1月1日 20時) (レス) @page48 id: 0378de78dc (このIDを非表示/違反報告)
naonao(プロフ) - ばりええ話でした!この話好きです!他のキャラの寝落ち通話話とかみてみたいです! (2021年10月25日 2時) (レス) @page48 id: d20e044f3d (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺にいる低音野郎、(プロフ) - もう最高でしたッッッ‼‼‼‼更新無理せず頑張ってください‼‼‼‼ (2021年10月17日 20時) (レス) @page26 id: aed207b57b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:たみ | 作成日時:2021年10月7日 23時