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「今日何時までこっちにいんの?」
『決めてないけど倫太郎の試合が終わったら帰るつもり』
「閉会式まで見てってよ」
『んーじゃあ見ていこうかな』
倫太郎の写真を沢山撮ってあげよう。
あ、そうだ。写真といえば…
『ね、倫太郎。この写真見て』
「ん?どれ?」
スマホを覗き込んできた倫太郎に前にビデオ通話した時のスクショを見せる。
ふざけてスクショターイム!なんて言って2人でポーズを決めていた時のものだ。
「待ってほんとにスクショしてるじゃん」
『ふふん、当たり前でしょ』
「ま、俺もしたけど」
『したのかよ』
倫太郎がスマホの写真を見せてくる。ほんとに撮ってんじゃねぇか、しらこいなおい。
「あ。今2人で写真撮ろうよ」
『たしかに!いいね撮ろ』
私がカメラを構えると、倫太郎がしゃがんで顔を寄せてくれた。ふわっと倫太郎のいい匂いもする。
…うわ、顔近い。心臓の音聞こえてないかな。なんて思いながら写真を取り終えた。
「ありがと、後で送っといて」
『りょーかい。写真撮ったの卒業式以来じゃない?』
「そもそも会ったのが卒業式以来でしょ」
『あ、そっか』
そのまましばらく話していると、「あのー」と双子達が私たちの中に控えめに割り込んできた。
「あのーおふたりさん」
「邪魔して悪いけど、決勝もうすぐ始まるで」
え、もうそんな時間か。話しすぎちゃったな。
倫太郎の方を見ると、金髪に「それに、角名には聞かなあかんこともできたしなぁ?」とニヤニヤしながら肩を組まれていた。
…うわぁ、めちゃくちゃ嫌そうな顔してる。
『じゃあ私応援席戻るね!』
そう言って、3人に背を向けようとすると、倫太郎からパシッと手首を掴まれる。
驚いて倫太郎の顔を見ると、真剣な眼差しで私を見ていた。
「あ、待って。…閉会式終わったらここに戻ってきて」
『ん、了解。じゃ、倫太郎がんばってね!あ、あと双子さんたちも!』
がんばれの意味も込めて大きく手を振ると、倫太郎はもちろん、双子さん達も軽く手を振ってくれた。
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しばらくしてコートの中に稲荷崎が入場してきた。1番に倫太郎の姿を探し、目で追っかける。
ちなみに私は先程よりも少し前の方の稲荷崎側の応援席に座っている。
『(あれ…なんかこっち見てる?)』
倫太郎が私に向かって微笑んだ気がした。
応援席から「今私に笑ったよね!?」なんて聞こえた声に、心の中でベッと舌を出した。
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宮兄弟最推し - 最近ハイキューのオタクになって、読むの、投稿されてかなり遅くなりましたが、最高です!胸の奥がギューンてなりました。 (5月20日 20時) (レス) @page48 id: e2e9177bef (このIDを非表示/違反報告)
名無し23523号(プロフ) - めちゃくちゃリアル、私も時々寝落ち通話する男の子がいるのでわかる〜!!ってなりながら読んでました笑面白かったです! (2022年1月1日 20時) (レス) @page48 id: 0378de78dc (このIDを非表示/違反報告)
naonao(プロフ) - ばりええ話でした!この話好きです!他のキャラの寝落ち通話話とかみてみたいです! (2021年10月25日 2時) (レス) @page48 id: d20e044f3d (このIDを非表示/違反報告)
そこら辺にいる低音野郎、(プロフ) - もう最高でしたッッッ‼‼‼‼更新無理せず頑張ってください‼‼‼‼ (2021年10月17日 20時) (レス) @page26 id: aed207b57b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:たみ | 作成日時:2021年10月7日 23時