銀島結とキキョウ ページ2
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北さんに紹介されて以来、意識を向けてみると、意外と俺と彼女は学校で多くすれ違っていたようだ。
何回か言葉を交わすうちに、すぐに打ち解けることができた。
遠くから歩いてきても、すぐに彼女だとわかる。
それは、彼女が特有のオーラのようなものを纏っているからなのか、それとも。
「!こんちは!」
『あっ、銀くん!こんにちは』
Aさんは、軽く手を振りながら優しい笑顔で俺の傍まで歩いてくる。
その手には財布が。
「今から購買すか?」
『うん、せやねん。銀くんも?』
「はい、よかったら一緒に行きません?」
『ええよ、行こ行こ!』
儚げな綺麗な見た目とは裏腹に、常に優しい笑顔で、ノリもよく、とても話しやすい人だった。
「Aさん、今日もメロンパンなんすね」
『ふふ、メロンパンめっちゃ好きやねん』
「せやったら、今日は俺もメロンパンにしてみます」
『ぜひ食べてみて!…おばちゃん、メロンパン2つください!』
いつもは1個しか買わないのに珍しいな、なんて思っていると、はい、と買ったメロンパンのうち1つを差し出される。
「え、悪いし、いいですよ!」
『ええのええの!その代わり感想教えてや』
俺がおずおずと受け取ると、嬉しそうな顔でにこっと笑ってくれる。
そんな彼女に惹かれるのは遅くはなかった。
しかしAさんの彼氏は北さん。その重苦しい事実に囚われながら、隣で優しく笑う彼女への想いを表に出さないように心の奥底に閉じ込めておく他なかった。
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作者名:たみ | 作成日時:2021年10月3日 20時