花物語【稲荷崎】 (ページ1)

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バレー部員とダリアページ1

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ある日、彼女は俺達の前に突然現れた。

いつもの部活の帰り道。校門まで４人で歩いていると、そこには我らが主将の北信介と仲睦まじそうに微笑む女性の姿。

誰だろう、と思ったが、とりあえずみんなで北さんにお疲れ様です、と声をかけ通り過ぎようとすると、我慢できなかったように宮侑がもう一言声をかける。

「え、北さん。その人は…？」

４人の目線が北さんの隣に立つ女の人の方にいく。

ピンと張った背筋、艶のある綺麗な髪の毛。
小さな整った顔が俺たち、宮侑、宮治、銀島結、角名倫太郎を捉えた。

こちらを振り返る単純な動作でさえも、上品さが伺える。

「あぁ、みんなにも紹介しとくな。俺の彼女のAや」

北さんがそう言って、彼女の背中をトン、と軽く押すと、半歩前に出てきて幾分か背の高い俺たちを見上げる。

『初めまして、３年のAAです』

小さくお辞儀をし、ふわり、と上品かつ妖艶に微笑む彼女。

咄嗟に、ダリアのような人だと思った。

昔、ナポレオンの妻ジョセフィーヌがその美しさを巡ってある貴婦人と争い起こしたように

俺達はこの時既に、その美しさに魅了されていたのかもしれない。

ダリア

花言葉:【優雅】【気品】【裏切り】

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