序章 ページ1
「お前は今日から私の代わりに”鬼舞辻”を名乗ってもらういいな?」
『勿論でございます。十二鬼月の上弦という称号を持つ鬼よ。これからの活躍を期待します。
私の呼び方は今まで通り”蝶非”でいいわ。』
「はっ。蝶非さま」
此処は無限城。
黒髪に紅梅色の猫のような瞳を持つ青年とその傍らに立つ黒髪黒目の美しい女性に対して集められたほかの者たちは平伏している。
女性は赤い彼岸花が描かれた黒い豪奢な着物を纏い、髪を高く結い上げ紅色の櫛をさしている。左右対称に簪と笄が煌めき花魁かと間違える程に美しい。
彼女は蝶非(チョウヒ)と呼ばれていた鬼だ。10年前に鬼の始祖、鬼舞辻 により鬼にされた鬼殺隊の元柱だ。
「蝶非、戻るぞ」
『はい。みんなも帰っていいわよ。』
無惨と蝶非が居なくなると集められていた上弦の鬼たちが話し出す。
「蝶非様は相変わらずお美しかったねぇ。」
真っ先に話し出したのは上弦の弐・童磨。
「当り前じゃない。童磨。それに鬼になってまだ10年とちょっとでしょ。蝶非様は。本当にすごい御方よ。あの方が蝶非様を後継に指名したのも頷けるわ。」
唯一の女の鬼、上弦の陸・堕姫が童磨に言う。
そこから上弦の鬼たちは無惨の呼び方について話していた。
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一方、同時刻の無惨と蝶非は。
「蝶非、私はお前に期待している。わずか10年でこれほどに上り詰めてくるとは。その技量は上弦の鬼の比ではない。お前なら忌々しい鬼殺隊をつぶせるのではないか。」
『まあ、無惨様。鬼殺隊をつぶせるは言い過ぎです。中には、、、、元同僚もいますし。私がいた時よりも人数が増えているかもしれません。そうなれば私一人は流石に無理がありますわ。上弦の、いや。鬼全体の協力が必要かもしれませんね。 そういえば、青い彼岸花の件ですが。秘密を知っている家族を見つけました。』
此処は無限城内にある蝶非の部屋だ。日本ではまだあまり普及していない西洋の家具が置かれている。蝶非と無惨はたった一つの吊り灯篭の明かりの中、小さな机を挟んで向きあって長椅子(ソファー)に座っていた。
蝶非の言葉に無惨は机をたたく。顔には喜びの表情を浮かべていた。
「よくやった!蝶非!!場所を教えろ。今すぐ行ってくる。」
『な!?ただし、お目付け役をつけますからね。偵察だけにしてください。』
色付きの玻璃をはめ込んだ窓から上弦の月が良く見えた
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作者名:玉葉 | 作成日時:2022年3月23日 21時