本当の貴方は何処へ〈鬼滅の刃〉

零 ページ2

「逃げろ！皆！絶対に生きて帰れ！禰豆子！善逸と伊之助と一緒に逃げてくれ！」

一人の少年が剣を持ち、宿敵と向かい合いながら仲間に叫ぶ。

「禰豆子ちゃんっ、やめてくれ！炭治郎！俺も戦うから！」

「ウガーーーッ！俺は言うことを聞かないからな！」

斬りかかろうとする猪の少年の腕をつかんだ少女は泣きながら走り出す。

それが兄の命令だから。

兄より強い仲間を呼ばなければならないから。




そして、２刻後

息を切らして駆けつけた柱と同期して仲間達。

悲惨な状況に言葉がでなかった。

鬼の少女は大粒の涙をこぼす。

血の臭いが充満しているのにものともせずにある一点に駆け寄る。

少年がずっと身に着けていた花札のような耳飾りに

少女達が最後に別れた場所には少年の腕と足、羽織りに耳飾りが片方落ちていた。

そして、少年の姿はなかった。

宿敵の姿も

この状況から見ても彼が生きている可能性は無に等しい。

皆(みな)が涙にくれる。

かつて少年の妹を最初に殺そうとした男も

姉をなくした女も

記憶を取り戻した少年も

弟のために体を張り続けている傷だらけの男も

その後、これは隊全体に知られる。

少年はいつも優しい心を持ち、皆に慕われていたため今までの功績を讃えて形だけでも柱に加えるべきだと隊全体が言う。

当主もこれを認め、日柱となる。

少年の妹は蟲柱の家に住むことに。

そして、腕と足だけが埋葬された少年の墓場にはいつも誰かがいたと言う。

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