逃げて。 ページ21
*
「なん、で…ここに……上弦が?」
「今は亡き胡蝶も、同じ反応をしていたよ。金髪君」
私の腕の中で、胡蝶は死んでいった。
私と同じ場所を斬られ、私の体は再生していくのに対し、胡蝶の体は再生しない。
胡蝶が苦しむ姿に、鬼である私も苦しんでしまった。
それを見て、胡蝶もまた苦しんだ。
体が再生する事を羨む胡蝶を見て、初めて鬼である事の苦しさを理解したんだ。
私は子供を抱き上げ、苦しがらない程度に強く抱き締めた。
「胡蝶は、こうやって…私の腕の中で死んだんだ。四肢を斬り落とされながら」
怖いねー、と楽しそうに言う子供達に対し、鬼殺隊の坊や達の表情は真剣だ。
きっと、亡き先輩剣士の最期について、知りたがってはいたのだろう。
そりゃそうさ。あんな、ばらばらで死体が送られてきたら、誰だってその時を知りたくなる。
「非常に残酷な殺し方だったと覚えている。
彼は私への罰の代わりに、胡蝶を殺してしまった。
同族が殺し合っているのを見て、物凄く…苦しかった」
かあさま、だいじょうぶ? と顔を顰めた私の頭を撫でる双子の妹。
これも、苦しくて堪らない。
救ってやりたかった。
あの場で彼女を鬼にしてしまえば、彼女は助かった。
苦しい。
「…貴女が殺した訳では、ないと言うならば……その、“彼”というのは…誰なんですか」
―――ひとつ、琵琶の音が聞こえた。
どうやら、もう時間の様だ。
「冨岡義勇」
そして、私は背後に現れた襖の奥へと入っていった。
*
228人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「鬼滅の刃」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
久遠(プロフ) - 日光☆さん» ハッピーエンド…なんですかねあれw でも、ハッピーエンドとして読んでいただけたのならよかったですあれハッピーエンドだと思って作ったのでええ。五回もコメントしてくださって、ありがとうございました!貴方の存在が結構支えだったり…ありがとうございました!! (2019年12月23日 22時) (レス) id: fa9adaf89c (このIDを非表示/違反報告)
日光☆(プロフ) - 最後ハッピーエンドだったので良かったです!お疲れ様でした!また作品作るの頑張って下さい! (2019年12月23日 22時) (レス) id: 8aed0398ef (このIDを非表示/違反報告)
日光☆(プロフ) - そうなのか…これからも頑張ってください! (2019年12月23日 16時) (レス) id: 8aed0398ef (このIDを非表示/違反報告)
久遠(プロフ) - 日光☆さん» あはは…独占型+排除型から崇拝型とか依存型になっただけみたいな感じですからねぇ…四回目、ありがとうございます (2019年12月23日 16時) (レス) id: fa9adaf89c (このIDを非表示/違反報告)
日光☆(プロフ) - 義勇さんマシになったけど、やっぱ怖いわ (2019年12月23日 16時) (レス) id: 8aed0398ef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:久遠 | 作成日時:2019年12月16日 11時