離れてしまえば ページ18
．
ただ右腕に、唇に、あなたの存在があって。
．
「……っ」
頬を伝った雨みたいなひと粒が、彼の頬に移って。
唇をさらって、腕を掴んだ熱が、離れる。
暗かった視界を薄く開いて、顔なんて見れなくて。
少し遠い深緑のエプロンのポケットを、じっと見つめた。
ただ、苦い味が残ってる。
煙草のような、珈琲のような、苦い味。
甘さなんて何処にもなかった。
いつかみたいに、砂糖に似た甘い香りはしなくなってた。
「…ごめん」
聞こえたのはそれだけで。
ゆっくり、顔をあげた。
少しだけ、目の端が赤くなってて。
視線は宙を泳いで、わたしを見なくて。
「なにが？」
苛立ってたのかもしれない。
何に対してか、しらないけど。
「……ごめん」
答えはわからないまま。
つう、ってわたしの頬をかなしさが伝った。
ああ、わたしはどうして泣いてるんだろう。
きっとあなたは泣きたくてもどうしようもない。
照明に跳ね返ってすこし光った落ちない雫。
グレーの瞳の奥はきっといつもどおりのあなたを、ただ作り上げていて。
壊れたものを修復するように、何もなかったことにするように。
床に落ちてたカモミールの花束。
ほんのり爽やかな香り。
下唇を噛む。
「……」
揺れる白い花を手にとって、私はちいさく頭を下げた。
今は離れるべき、って。
あなたは、何も言わなくて。
わたしは、何も言えなくて。
重い焦げ茶色のドアを押して、外の空気を吸い込む。
秋の空気はひんやりと、爽やかで。
カモミールの花束は、揺れた。
私を否定するみたいに。
．
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きいろいあめ(プロフ) - 凜さん» そうですね、笑 しあわせしあわせ！いつもありがとうございます！笑 (2018年10月13日 22時) (
レス) id: f76b3d85cb (このIDを非表示/違反報告)
凜(プロフ) - 恐れないでぇぇ；-； 幸せって言ってくてちゃうのすっごい幸せです＾＾ 2人して幸せやら平和で素敵ですね^ - ^ (2018年10月13日 18時) (レス) id: ea7207ff5a (このIDを非表示/違反報告)
きいろいあめ(プロフ) - 凜さん» 嬉しいのはこっちです、！好きなものは好きなんて、私の方が幸せです、、憧れなんて恐れ多すぎる…笑 (2018年10月11日 23時) (レス) id: f76b3d85cb (このIDを非表示/違反報告)
凜(プロフ) - え、なにそれ嬉しすぎますよ！！！コメントなんていくらでも書いちゃいますよ＾＾好きなものは好きです！憧れの人とお話しできるなんてこちらこそ幸せですよ（感涙 (2018年10月11日 22時) (レス) id: ea7207ff5a (このIDを非表示/違反報告)
きいろいあめ(プロフ) - 凜さん» 凜さんからコメント貰えるの嬉しくて、通知来てるの見るの幸せです笑 (2018年10月10日 21時) (レス) id: f76b3d85cb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きいろいあめ | 作成日時：2018年10月9日 18時
