好きになっちゃいけない人。〜Hiromitsu.K〜

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「…ねえ、やばい…よね？」



「めちゃくちゃやばい…」



ライブまであと2週間に迫った、7月末。



私たちは焦っていた。



ものすごく、焦っていた。



「うちわ、作り始めてすらないし」



「まず材料すら買ってないよね」



もう2週間しかないんだ。


間に合わせるしかない。



そう思った私たちは、私の家で泊まり込みでうちわ作りをすることにした。



近所の百均で材料を買って、家に戻って黙々と作業…のはずが。



「A、出来ない〜〜〜」



そう言って泣きついてくるのは、もちろんみゆき。



こうなると思ってたよ。



不器用な上、みゆきは左利き。



一生懸命ハサミを使っているが、切れ目はガタガタ。



しかも、みゆきが作ろうとしているのは、藤ヶ谷太輔の『藤』。



私が作っている『北』とは比べ物にならないくらい難しい。



とくに、不器用なみゆきにとっては。



「私だって作らなきゃいけないんだから、自分で頑張ってよ。自分で作らなきゃ意味無いじゃん」



「でも出来ない〜！！」


「ちゃんとやれ！！時間ないんだって！！」



ピリピリしながら作業再開。



みゆきも何とか頑張ってるみたい。



ペースは遅いけど。

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