すとーんずの宝石

◎ 腕時計 ページ5

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「Aさんその腕時計どうしたんですか？」


「これね、この前一目惚れして買ったんだ〜、可愛いでしょ？」


「はい、とってもお似合いです」




話しかけてきたのはSixTONESのマネージャーさん。

今私達がいるのは、これからSixTONESでYouTubeの撮影をするために現場に向かっている移動車の中。


腕に光るシンプルだけどお洒落な腕時計を見て一人で笑顔になってしまう。

やばい、私もしかして変人？




「メンバーには腕時計買ったって報告したんですか？」


「ううん、してないよ」




そう答えるとマネージャーさんが少し苦笑いをした。

言った方が良かったのかな？でもいちいち個人的な買い物の報告なんてする？

いろいろ考えているとすぐに現場に到着して、用意されていた楽屋に入ると来ているのはじゅりだけだった。




「じゅりおはよう、早いね」


「んー、前の現場近かったから」


「そっか、お疲れ様。

あー、早くたいが来ないかな？」


「いやそれはなくね！？せっかく俺と二人きりなのに！！」




じゅりがなんだか文句を言っているけど、私は元々そんなに喋るタイプではないので申し訳ないけど無視させてもらう。ごめんじゅり。




「てかさ、それなに？」


「……」


「え、まって無視？」




無視。


"嘘でしょ？え？聞こえてない？東雲さん？Aさーん？え？"

…無視。


"え、まじで言ってる？え？無視はやばくねぇ？俺泣くよ？"

……無視…できない。




「…ごめん、聞こえてなかった」


「いや嘘じゃん」


「うん嘘、じゅりごめんね？」


「は？可愛い」


「ありがとう、で、なに？」




私がそう聞くとじゅりは「あぁ、」と思い出したように私の手首を指さした。




「それ、なに？」


「何って、腕時計だけど…じゅり疲れてる？始まるまで寝とく？」


「違ぇよ！そうじゃなくてさ、お前そんなの持ってなかったじゃん。

誰に貰ったの？彼氏？」




マネージャーさんの苦笑いの意味が分かった気がした。

あー、報告しとけばよかった。




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