#42 ページ43
.
病室から飛び出し、あてもなくあの人を探しに行こうとする。
今は、苦しんでいる貴方の傍に居るべきなのに。
「これじゃ、あの人のほうが大事みたいじゃない」
我に返って病室へ翻す。
重岡さんはゆっくりと、確実に呼吸をしている。
彼が生きている、それだけでいいのに
どうして余計なことをしようと勝手に走り出すのだ、この足は。
「ごめんなさい」
恋を失うことが怖くて私のせいですなんて言えないけど、
自分勝手に謝罪した。
.
ブロックを解除してあの人にも同じように謝罪する。
“ごめんなさい”
重岡さんの命をつなぐ管を外すくらいなら
私のことをおそったらいいじゃない。
重岡さんにどんな恨みがあるの。
訊きたいことはいくつもある。
でも、ここで訊いてしまったらまた関係が切れなくなる。
彼も、貴方も、そして私も不幸になる。
誰も幸せになれない。
“なにが”
割と早く返信は来た。
“色々と、です”
“ふうん”
“最後にお願いがあります”
“なに”
“何があったのか存じ上げませんが、
重岡さんのこと許してあげてください”
既読は、まだつかない。
.
(重岡side)
当然っちゃ、当然のことだった。
だって、あいつはおれを恨んでいるんだから。
名だけの“親友”だから。
奨学金のことだけじゃない。
神山の当時好きだった女の子がおれに告白してきたこともあった。
そして入院前、おれが遊び人だなんて無実の噂が広まったこともあった。
それらすべてに対してあいつは怒っているんだと思う。
告白の件は事実だし、
噂に関してもあいつなら信じてくれるだろうと、
あえて誤解を解かなかった自分が悪い。
そして先ほど、Aのことで神山がおれに殴りこんできた。
ただ、言っている内容は理不尽極まりなく、
少し頭がおかしんじゃないかと思うほど滅茶苦茶だった。
しかし彼を落ち着かせることができるような体調でなく、
胸倉をつかまれたときには過呼吸気味になっていた。
それで気付いたら点滴をはずされていた、という次第である。
「A、大丈夫やから。
おれ、生きてるで。」
いま、生きている。
それ以上を望む気力もないくらい、
病は確実におれの身体を蝕んでいた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 188人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カキピー。(プロフ) - らーさぁさん» 覚えてて下さったとか光栄すぎて……(T-T)はい！らーさぁさんの作品楽しみにしています！笑執筆活動頑張ります！ありがとうございます！レス遅れてすみません！ (2016年7月20日 5時) (
レス) id: da9b62ff0c (このIDを非表示/違反報告)
らーさぁ(プロフ) - カキピー。さん» わわわ！！勿論覚えてますよ！お久しぶりです。そんな風に仰っていただけて光栄です…ありがとうございます( ；∀；)これからもお互い執筆頑張りましょう！またことぴさんのほうにもお邪魔させてもらいますね(・ω・)ノ (2016年7月16日 8時) (レス) id: cac586eb2c (このIDを非表示/違反報告)
カキピー。(プロフ) - らーさぁさん。覚えているでしょうか。改名してしまいましたが、二階堂君の「祈り」を読み、らーさぁ様にハマった者（旧jyanikotopi）です。このお話が凄く大好きです。やはりらーさぁさんは私の神、です←黙)))更新、頑張って下さい！ (2016年7月16日 4時) (レス) id: da9b62ff0c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：らーさぁ | 作者ホームページ：http://kit2-love
作成日時：2016年6月15日 1時
