#30 ページ31
.
「彼、癌だった…」
「……まじで?治るん?」
小瀧に報告すると、神妙な顔つきでそう言う。
「わかんない。でもね、私にそばにいてほしい
って言ってくれたの。もう…やばい」
「…そないなこと言っとる場合か?」
珍しく苛立った様子で私を咎める小瀧。
たしかに、あんなことを言われて、
ついつい浮かれていた。
それに、私はきっと治るであろうと
案外状況を軽く見ていたのだ。
「私が毎日そばに居て笑わせたい。
病気だってことも、忘れさせるくらい。
きっと、治ると思うの。」
小瀧は何も言わず立ち去った。
あんなに親身になって話聞いてくれてたのに。
大きな背中を見送り、校舎から校舎へ移動する。
.
風に運ばれて、薬品のにおいが鼻につんとくる。
横にはあの棟。
また、いつかと同じように掲示物がはためく。
「困ります、シフト入れてもらわれへんというのは。」
記憶から排除しようとした声。
「お願いしま……って僕がですか?
…それはそう、ですけど…理不尽やないですか。
めちゃめちゃ入れられたり、
全然入れてくれへんかったり、…辞めさせていただけませんか。」
窓際で電話している。
「だめ…ですか。……わかりました。」
電話が切られ、こちらを向きそうになった
のを見て私はサッと校舎の脇に隠れた。
電話の内容を聞いて、ふと思い出す。
神山さんとパスタを食べたとき、
バイト先と思われる連絡先からいっぱい通知
が来ていたこと。
もう関わらない。
そう決めたけど、気になって仕方ない。
心配している自分がいる。
でも、ここで歩み寄っていったら
あの“笑顔”を裏切ることになる。
私は唾を飲み込んで、その奥の校舎へ入っていった。
重岡さんが私にそばに居てほしいのと
おんなじように
神山さんもそばに居てほしいのかな、なんて
心の何処かで思いながら。
.
188人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ジャニーズWEST」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
カキピー。(プロフ) - らーさぁさん» 覚えてて下さったとか光栄すぎて……(T-T)はい!らーさぁさんの作品楽しみにしています!笑執筆活動頑張ります!ありがとうございます!レス遅れてすみません! (2016年7月20日 5時) (レス) id: da9b62ff0c (このIDを非表示/違反報告)
らーさぁ(プロフ) - カキピー。さん» わわわ!!勿論覚えてますよ!お久しぶりです。そんな風に仰っていただけて光栄です…ありがとうございます( ;∀;)これからもお互い執筆頑張りましょう!またことぴさんのほうにもお邪魔させてもらいますね(・ω・)ノ (2016年7月16日 8時) (レス) id: cac586eb2c (このIDを非表示/違反報告)
カキピー。(プロフ) - らーさぁさん。覚えているでしょうか。改名してしまいましたが、二階堂君の「祈り」を読み、らーさぁ様にハマった者(旧jyanikotopi)です。このお話が凄く大好きです。やはりらーさぁさんは私の神、です←黙)))更新、頑張って下さい! (2016年7月16日 4時) (レス) id: da9b62ff0c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:らーさぁ | 作者ホームページ:http://kit2-love
作成日時:2016年6月15日 1時