#27 ページ28
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「…ん、なに？」
告白されるかと思って赤面で構える私を見て
何もなかったかのように首をかしげる重岡さん。
ずるい、このひと。私に云わせる気だ。
または、私に恋愛感情なんて抱いていないか。
でも、ここで云って失敗したら、きっともうここへは来られない。
それなら、確信が持てるまでこの想いは心に封じ込めておこう。
「いや、なんでも、ないです。」
「あぁ…そう？」
そう言って、彼は少しつまらなさそうに窓の外を見る。
気づけばもう、夕暮れ時だった。
橙色に染まった、ほどよくちぎれた雲は色のついたわたあめみたいで
口の中に甘みが広がるように感じた。
「綺麗やね。」
彼は、絶対にこの景色のことを言っているのに違いないのに
自分のことをそう言ってくれたみたいに思って、
勝手に恥ずかしくなって。
「そ、そうですね。」
そんなことないですよ！なんて言ってしまったら自意識過剰な
カンチガイ女に思われてしまう、と思考回路を正す。
きっと、これは“青春”ってやつ。
そう、周りのみんなよりちょっぴり切ない、“青春”ってやつだ。
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「一緒に散歩行かへん？」
突然沈黙を破る彼。
「え、散歩して大丈夫なんですか？」
「おん。敷地内なら許されてる。」
私たちは、白い部屋を出た。
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「しげくんだ！」
「昨日はどうしたの？」
小児病棟に入ると子どもたちが彼を囲む。
入院して長いわけでもないのにこんなに懐かれているのは、彼の人柄だろう。
「ごめんなぁ、行かれへんくて。お兄ちゃんなぁ、寝ててもうてん(笑)」
「しげくんのねぼすけ〜！」
「あはは、みんなはちゃあんと起きて、お勉強して、偉いなぁ！」
彼は子どもたちの頭を撫でると、私に向き直る。
「この子ら、かわいいやろう？
毎日こないして散歩来ると歓迎してくれて。」
子どもたちと変わらないくらい無邪気なその笑顔は
窓の色くらいあたたかくて、甘いものに感じる。
「しげくん、カノジョ？」
一人の女の子が私を指差して彼に尋ねた。
「このお姉ちゃんは、Aちゃん。」
「カノジョ？」
女の子は少しムッとしたように目を細めてもう一度尋ねる。
たぶん、この子は彼が好きなのだ。
「んー、お兄ちゃんにね、元気をくれるひと。」
「看護師さん？」
「ちゃうよ。看護師さんやないけど、おれは、このひととわろてると
病気、治ってまうような気がするねん。」
彼はそう言って笑った。
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カキピー。(プロフ) - らーさぁさん» 覚えてて下さったとか光栄すぎて……(T-T)はい！らーさぁさんの作品楽しみにしています！笑執筆活動頑張ります！ありがとうございます！レス遅れてすみません！ (2016年7月20日 5時) (
レス) id: da9b62ff0c (このIDを非表示/違反報告)
らーさぁ(プロフ) - カキピー。さん» わわわ！！勿論覚えてますよ！お久しぶりです。そんな風に仰っていただけて光栄です…ありがとうございます( ；∀；)これからもお互い執筆頑張りましょう！またことぴさんのほうにもお邪魔させてもらいますね(・ω・)ノ (2016年7月16日 8時) (レス) id: cac586eb2c (このIDを非表示/違反報告)
カキピー。(プロフ) - らーさぁさん。覚えているでしょうか。改名してしまいましたが、二階堂君の「祈り」を読み、らーさぁ様にハマった者（旧jyanikotopi）です。このお話が凄く大好きです。やはりらーさぁさんは私の神、です←黙)))更新、頑張って下さい！ (2016年7月16日 4時) (レス) id: da9b62ff0c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：らーさぁ | 作者ホームページ：http://kit2-love
作成日時：2016年6月15日 1時
