鬼が8人 ページ12
なかなか終わらない仕事をこなしているといきなり後輩から呼ばれた。
「先輩！Aさんが来てますよ！」
「Aが？！わかった！」
なんでAが？
なんて思いつつ急いで入口の方まで行く。
「Aー！」
「きぃ！」
「どうしたんだよいきなｯ！！お前！水浸しじゃねぇか！！ちょ、待ってろ。拭くもの持ってくる。」
近くに行くと毛先は濡れてるし、ズボンも色が濃くなっている。
この外の中俺のことを迎えに来てくれたのか？
まぁ、そんな事どうでもいい。
確か、俺の机の引き出しにタオルがあったはず。
急いで取りに行こうとすると案の定Aは「全然平気ですけどー？」みたいな顔をして遠慮する。
「え、いいよ？」
「また風邪引くだろーか！！」
「…有難う。」
ここはいつもの押しを使って言うと、Aは渋々お礼を言った。
机まで小走りで戻ってくると俺は乱暴に引き出しを開けていく。
「タオル、タオル……と…あったあった。」
探し物を見つけた俺はそれをしっかり持ってまた入口に小走りで戻っていく。
「ったく。こんな大雨の中何しに来たんだよ。」
持ってたタオルをAの頭に被せ、グシャグシャと頭を拭いてやる。
「いや、ほら、きぃ、傘忘れてったから持って行ってあげようと思って！」
「別に俺の事なんて気にしなくていいのに。」
って言うと大体顔を膨らますのがA。
「それじゃきぃが風邪引いちやうかもでしょー！！むー！」
ほらな？
「俺はすぐ風邪なんて治せるんですー」
「嘘つけー！！」
「はいはい。とりあえず、傘有難うな。仕事もう少しかかりそうだから少しここで休んでけ。」
「邪魔になんない？」
「なんないなんない。」
そういうとこ凄い気を使うやつだから無理矢理腕を掴んで、連れて行く。
空いてる席から椅子を持ってきて、俺の椅子の隣に置いてAを座らせれば大人しくなるだろう。
「あわっ！！…ごめんね？」
「何謝ってんだよ。謝んのは俺の方だ。待たせて悪ぃな。」
「ううん。大丈夫！私待つの得意だよ！」
「得意ってなんだよww」
軽く突っ込んで俺は画面と向き合いっこ。
数分後…
「んー…」
仕事がやっと終わり、帰れると思い、Aの方をちらっと見る。
「すやぁ…」
「はぁ…可愛い寝息立てちゃって。おーい。A……？」
起こしてる時、スマホと一緒に何か書いてあるメモを見つけ、見てみるとそのメモは新しお献立のレシピだった。
すげぇー頑張ってんな。
お疲れA。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 55人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：心奏 | 作成日時：2018年6月1日 10時
