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「…きて、智くん！」
強い力で揺さぶられて起きるとそこは楽屋で。
「…翔くん…」
やっと起きた、と笑顔になる翔くん。
「え、ちょ、智くんなんで泣いてんの。」
そう言われ頬を触ると濡れる指先。
「…分かんない。」
「ほら、おっさん寝ぼけてないで早く撮影行きますよ。」
ぐぃっ、と引っ張られソファーから立たされて。
次々と楽屋を出ていくみんな。
「ほら、智くん。遅れる。」
「ん。」
差し出された翔くんの手は温かい。
”やっと会えた”
ギュッと握り返すと、なに？、とクスクス笑う彼。
心の中の誰かがその笑顔が見たかった、と呟く。
そして、俺もこの手を離したくないと思った。
「…翔くん。」
「ん？」
「…んーん。なんもない。」
えー、と笑う彼。
そして、俺は何か大切なものを失う夢を見た気がした。
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作者名：Sora | 作成日時：2019年5月23日 21時
