恋は透明に輝く (ページ8)

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「おはようございます。」

「あ、山田さんごめん」

「何がですか？」

朝、出勤早々挨拶よりも先に両手を合わせて
謝る神宮寺さんに首をかしげた。

こんなこと働き始めて初めてだ。

「ちょっと忙しくて、子供達の面倒彼に見てもらっちゃってて」

神宮寺さんの指さす方へ目線を移すと
子供達の中心で絵本を読み聞かせている紫耀が居た。

これなにー？
なんでー？

って騒いでる子供達の声にいつもの笑顔で全てに答えている紫耀は
ふと私に気付いて大きく手を振った。

「ここはいいから、ちょっと様子見てきてあげてくれないかな」

「はい、分かりました」

神宮寺さんの言われた通り紫耀の元へ行くと

このお姉さんの方が物知りだよ

なんて言って輪の中に向かい入れてくれた。

「なんの絵本？」

「きんぎょがにげたっていうやつ」

「ねえ、それ幼児向けだよ」

「あれ、本当？」

絵本の表紙を見ながら頭をかく紫耀がおかしくて思わず吹き出した。
紫耀の前でこんなに笑ったのは再会してから初めてかも。

「やっと笑ってくれた」

「そう…かな？」

「うん、Aの笑顔久しぶりに見たよ」

子供達の前だって言うのに、頬に優しく触れた紫耀の指にトクンと胸の奥が鳴った。