恋は透明に輝く (ページ23)

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廉side

「廉は、入んないの？」

「俺着替えないねん」

「え、俺もないよ？」

海で遊んでいた紫耀が貝殻を集め始めたAを置いて戻って来て
俺の隣に腰をかけた。

「一緒に来てくれてありがとう」

「まあ Aも来たがってたしな」

貝殻を拾っては太陽に掲げて透かしてるAを見てるとやっぱ好きやなって気持ちが溢れ出る。

紫耀ごめん、この10年お前に会いたくなかったわけじゃないねんで。でも毎日紫耀が戻ってきたらどうなるんやろって怖かったのは事実。

「なあ、10年も何してたん」

「っ、えっとー…色々？」

頭をかいて困ったように笑う紫耀の顔を見て見ぬふりして視線をAへ移した。
今更来たってもう遅いんやからなって勝手に紫耀を意識して真っ黒い感情が胸に充満していく。

「ふーん、まあ、どんな理由でも Aの事は返さへんからな」

「…うん、Aを幸せに出来るのは廉だけだと思ってるよ」

そう言ってても紫耀のAを見る目は切なげで、本当の気持ちなんて手に取るように分かる。

何があったか話さん紫耀へのもどかしさと寂しさ
Aを取られる不安感そのどれもが頭の中で渦みたいにぐちゃぐちゃに混ざった。

「そう言えばこの前大学病院におったやろ？」

「え、あぁちょっと風邪引いて」

「そうやったんや、もう大丈夫なん？」

「うん、もう治った」

そう言って何でか二の腕の力こぶを見せつけてきた紫耀の変わらないアホな所は本当に笑える。