恋は透明に輝く (ページ19)

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「大丈夫？」

「はい…すみませんでした」

神宮寺さんに頭を下げて、貸し出し受付の椅子に身を委ねるように座った。
それから数時間、紫耀の姿は見えなくて、見えないというか見ないようにしているんだけど
それでもふとした時気づいたら紫耀の事ばかり考えていた。

「だから、それじゃないって」

「す、すみません」

「代わるから山田さんは少し休憩しておいで」

「本当にごめんなさい」

そんな気の抜けた状態で仕事をして、普段しないミスが重なる。
不甲斐なさや情けなさもどんどん心に溜まっていった。

ハア…と溜息をついたのは図書館の外にある小さなベンチに腰を掛けた時だった。

「帰りたい…」

いつの間にか夕焼け色に染まっている空を眺め気持ちごと吐き出すように呟いた。

そしたら、ヒヤッと頬に何か冷たい物が触れて体が温度の変化で跳ねた。

「吃驚した？」

「し、紫耀…そりゃぁ、吃驚したよ」

「ごめんごめん、これあげるから許して」

なんて言って差し出したのはペットボトルに赤いラベルが巻かれた炭酸飲料。
受け取るのに躊躇したけど、あまりにも紫耀の表情がいつも通りで
ここで拒むのも変な気がして受け取った。

「それ好きだったでしょ？」

「うん、ありがとう」

「どういたしまして」