恋は透明に輝く (ページ13)

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「しょ、う…？」

「ごめん、もう少しだけこのままでいさせて」

突き放す事なんて簡単なのに、今にも消えてしまいそうな弱々しい紫耀に
そんな事出来るはずがなくて、もう少しだけって自分にも言い聞かせながら
懐かしい香りの中また強く鼓動が鳴っていた。

「ごめんね、嫌な思いさせて」

ふわっと離れていく紫耀の寂しい言葉に違和感を感じているのに
それを認めるのはあまりにも自分勝手で酷い自分が怖くて否定出来ない。

「ｽｰﾊﾟｰってこっちの道で合ってる？」

「合ってるけどひとりで行けるから大丈夫だよ」

「でも…」

「おーい、何してんの」

紫耀の言葉と被って聞こえた声に振り返ったら仕事帰りの廉が駆け寄ってきている所だった。

私と紫耀を交互に見て、いつも通りの優しい笑顔を向けてくれる廉に罪悪感が深く胸に刺さって苦しい。

「買い物に行く途中でたまたま会って」

「そうなんや、あ、紫耀晩飯どうすんの？」

「え、特に決めてないかな」

「じゃあ今日Aに作ってもらう日やからうち来る？」

「いや止めとくよ」

「なんでや、Aもええやんな？」

ぎこちない紫耀の笑顔に気が付かないのか、廉は紫耀の肩を抱いて何度も誘っている。

「いいよ、紫耀。おいでよ」

「う、うーん…じゃあお邪魔してもいい？」

「あったり前やろ」

くしゃくしゃっと紫耀の髪を乱しながら頭を撫でてる廉。
その懐かしい光景が嬉しくて自然とぎこちない笑顔は消えていた。