さいあいのひと (fmkn) (ページ9)

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(kn)

「あと五分ほどで準備が終わります。それまでこちらに居てください」

今日はSexy zoneでの雑誌の撮影だった。
久々に会うメンバー全員が映る写真をこれから撮られる。
もちろん菊池も居るはずだったのに、待機しろと言われ開け放された部屋には菊池はいない。マネージャーの言葉を聞くやいなや風磨は何処か行ってしまった。

自分はどうしたいのだろうか。

ふと、ここ毎晩思うことが頭を過ぎった。
彼を理不尽に突き飛ばしてまで、何がしたいのか。

何日も前のことを思い出す。
もうお前と一緒にいない、そう俺が呟いて一番困ったのは自分なのに。

ああ、また自分勝手な行動で悲劇のヒロインを演じてしまった。
俺の嫌いな俺のこと。

「･･･健人くん」

静かに現実に戻される。
勝利が心配そうにこちらを見ていた。
咄嗟に自分が情けなくなる。なんで歳下のこんな優しい奴に迷惑をかけているんだろう。

なにも俺のことなんて気にしないでいいのに。

「どうした？」

「うんん。もう始まるよってだけ」

勝利は静かに遠くへ行ってしまった。

「健人くん、行こ！」

すぐ、いつもの無邪気で優しい笑顔をした松島が俺の手を引っ張った。明るい声と暖かい手に少しだけ、元気を貰えた気がした。