探偵さんと真実 ページ6
事務所に着いた後、明智さんは早速依頼人を事務所へと呼び出した。
事務所に入って来た相手はとても若く見えた、綺麗な身なりをしていて、きっと、亡くなった女の子は大切にされていたんだな、と思えるほど、優しそうな人だった。
そうしてずっと相手を見ていると、明智さんが此方を依頼人さん、後で名前を聞いたのだが櫻川さんに分からないように睨んでいた。
私ははっ、と、気づき櫻川さんに会釈を軽くし、お茶を差し出した。
「それで、娘さんの事なのですが」
綺麗な声で明智さんが切り出せば、櫻川さんは熱心にその一言一言を聞いていた。
「そう、ですか」
今にも泣き出しそうな声で櫻川さんは言う。
最後に一言、ありがとうございました。と、言えば、事務所から出て行った。
「やはり、彼の人の娘さんは、…でも、何で」
「自ら命を落としたかった訳ではないと思いますが」
淡々とした口調で言うものだから思わず聞き逃してしまうところだった。
「え…、で、でも、さっきは!」
机を思いっきり叩いてしまい、また明智さんに睨まれ、私はおずおずと手を引っ込める。
彼を見つめていると、観念した、とでも言うかのように溜息をついて、話はじめるのだった。
「彼女、櫻川さんの娘、光さんには元恋人がいた、一度容疑者にあがりましたが、彼、西井さんはその彼女が亡くなった次の日に自ら命を落としていたようです」
彼女に元恋人がいるのは知っていたが、まさか明智さんが其処まで調べているとは知らなかった。
彼はお茶を飲み、どんどん続けていく。
「亡くなった彼の手の中には指輪がありました。そして、彼女の指にも指輪の跡があった。後で、探したら案の定その指輪が見つかり、その後、彼らの指輪から買った店を調べ婚約指輪、と言うことが判明しました」
明智さんは指輪の写真を見せながら、其処で話を止めてしまった。
「そ、それとこれとが、どう関係して?」
「此処まで言っても分からないんですね」
頭にくるが、そんなことよりも早く真相が知りたくて、明智さんを急かした。
明智さんは面倒そうにしながら、また口を開く。
「心中、ですよ。西井さんは彼女の両親から疎まれていたらしく心中を図った。酔っ払った男性が通りかかったときに見えた男とは、つまり西井さんのこと、運悪く見つかってしまい、怖くなった彼は、その場から逃げ去った。その後、彼女の死からの罪悪感、そして悲しみから後を追った」
そこまでいえば明智さんは静かに呟いた。
「どうしようもない感情なんて、捨てて仕舞えばいいのに」
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群青色の五月雨(プロフ) - ワシ子さん» はぁああ!!有難う御座います、!!もう褒めていただけるとか嬉しすぎて禿げます()頑張って書いていこうと思うのでこれからも見て頂ければ幸いです、(ぺこぺこ、 (2017年7月11日 16時) (レス) id: 1ef9df73cb (このIDを非表示/違反報告)
ワシ子(プロフ) - これすごい好きです! 頑張ってください!! (2017年7月9日 9時) (レス) id: 0c4ba9284d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:群青色の五月雨 | 作成日時:2017年6月17日 18時