BORDER LiNE (ページ3)

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03/27 22:08 ページ3

「え、いやいや！お姉さん濡れちゃいますよ！」

男の子はびっくりしてこちらを見ている。
隣に並んだ時点で顔なんて見ていなかったけれど、想像よりかっこよかったその顔にがらにもなく、ちょっとドキっとしちゃったりして。

「いや、でも今日タクシー全然来ないし、しかもこの雨のなか傘無しはちょっと…」

「そうですね……じゃあ、すみません、ありがとうございます。」

彼は、そういいながら一歩私の方へ近づいた。

「雨やばいですね…」

「そうですね、天気予報雨じゃなかったのに…」

「僕も、家出るときに確認したんですけど…」

土砂降りの雨の中、小さな折りたたみ傘に2人で入るなんて、自分でもびっくりしてしまうけど、不思議とそんなに気まずいな、と思うことはなくて。
ただ、見知らぬ男の子と小さい傘で大雨をやり過ごしているこの状況が、なぜだか急に面白くなってしまって、ふふっと思わず小さく笑みを零した。

「ん？」

「あ、すみません…なんだか、この状況が急に面白くなっちゃって…ふふっ」

「あー、いや、そうですよね。見知らずの男と大雨の中相合傘なんて…」

彼も同意して、あははっと笑ってくれた。
ちらりと八重歯をのぞかせて笑ったその表情は、先程とは打って変わってなんだかかわいくて、
雨は最悪だったけど、こんなかっこいい男の子と相合傘ができるなんて、ちょっとラッキーだったかも、なんて考えてしまうのは単純だろうか。

「タクシー、全然来ないですね…」

「そうですね。いつもはこんなに待つことないんですけど……雨だからですかね。」

「みんな、急に雨降ってきたらタクシー使いますよねー。」

雨は止みそうにない。ここまでタクシーを待ってしまったら、今更歩いて帰るのもなんだし、
なんせ今は、傘を持たない彼が一緒だ。とにかく早くタクシーが来てくれるのを待つしかない。

「お兄さん、次のタクシーきたら、先乗っていいですよ。」

「そんな！傘までさしてもらってるのに、それはさすがに申し訳なさすぎます。」

正直、この彼さえタクシーに乗れてしまえば、私はもう歩いて帰ったっていいのだ。
タクシーを待つにしても、私が先に乗ってしまえば彼は雨の中、さらに次のタクシーを待たなければならない。どう考えてもこの状況、タクシーが必要なのは私のよりも、彼の方だった。