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久しぶりに、仕事が早く切り上げられた日だった。
学生時代の友人が何人か集まってご飯を食べるから、と誘いを受けて、いつものホームと反対方面に向かう。
なんでも、友人の一人が結婚するらしい。その前祝い、と言ってはなんだけど、それなら久しぶりに会ってご飯でも食べに行こうじゃないか、とそういう会らしい。
結婚祝いのプレゼントでも、何か買っておけばよかっただろうか。
「結婚はおめでとうだけど、まさかあんたが結婚するとはねえ。まだ、バリバリ働くと思ってたもん。」
程よくお酒も入ってきた友人たちは、馴れ初めだの、プロポーズの言葉だのを根掘り葉掘り聞き出そうとしている。
しばらく会ってなかった上に、連絡もそうマメではない私は、友人の近況を聞いては頭の中で整理して、の繰り返しをしながら、ひたすら聞き役に徹していた。
「え、仕事は辞めないわよ。だって彼、研究職だし。結婚はするけど、まだまだ全然働くもの。」
「そうなんだ!えー、研究職の旦那様なんて、いったいどこで捕まえてきたのよ。相当頭のよろしい人なんじゃない?」
「うん、彼東大卒だし。」
思わず、東大という言葉に反応してしまった。
ちょうど最近、すっかり東大王を見ることにはまってしまっていた私は、東大卒という言葉から反射的に伊沢くんを思い浮かべていた。
「そういえば、彼の後輩がね、YouTubeやってるのよね。今流行りのYouTuberってやつ。」
「え、YouTuber?彼の後輩ってことは、その後輩くんも東大卒ってことでしょう?」
「そうそう、後輩くんはまだ現役なんだけどね。東大院生。」
「東大院生のYouTuberって、どんなんよ。私ヒカキンくらいしか知らないけど。」
「QuizKnockって言うんだけど、東大生何人かで、クイズやるようなYouTuber。」
東大生、クイズ。
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作者名:湊 | 作成日時:2019年11月6日 18時