BORDER LiNE (ページ21)

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06/11 19:37 ページ21

(あ、新着動画あがってる。)

最近はすっかりYouTubeを見るのが日課になった。
彼らの高度のなクイズには到底ついていけないけれど、心底楽しそうにしている様子を見るのは楽しい。

「いまの、山本くんすごかったな…」

ぽつり、と呟いた声が、自分の他には誰もいない部屋に思ったよりも響いた。
その自分の声に、急激に冷静になる。

(なんか……)

(なんか、私、山本くんのことばっかり……)

誰に言われたわけでもない、誰に気が付かれたでもないのに
自分でそう自覚してしまったことが無性に恥ずかしくなった。
相手は学生、ましてや4つも年下の男の子なのだ。どうしたというのだ。

しかしそこまで考えてから、相手はただ男の子ではなかったな、と思い返す。

彼らだけではないが、最近のYouTuberというのはもはや芸能人も同然だった。
面白い動画を提供するだけではなく、歌やダンス、洋服のプロデュース、
イベントなど、YouTuberの活躍は多岐に渡る。
そう思うと、ちょっとでも縁を持った山本くんを”ファン”として応援したくなるのは当然の心理だ。身近な人が芸能人になったなら、誰だって応援するだろう。
一緒にご飯食べたり、連絡が取れるようになって浮かれた気持ちもあったが、勘違いしてはいけない。

彼は、住む世界の違う人間だ。

(山本くんは優しいから、こんな私と友達になってくれたけど)

画面の中の彼の優しい笑顔は、私だけに向けられているものではないのだ。