BORDER LiNE (ページ16)

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05/02 10:21 ページ16

「Aさん、僕のことを知ってたの？」

「ううん、初めて会ったときはぜんぜん知らなくて、それで、馴れ馴れしくも声をかけさせてもらったんだけど……実は最近、その、YouTubeで見て、びっくりして…」

なんでも、たまたま知り合いからQuizKnockのことを聞いて、僕が出てるとは知らずにYouTubeを見て、初めて気がついたらしい。
この間マンションの前でばったり会ったときにはもう知っていたらしいけど、全く知らない状態で出会ったのが最初だったから、なんて切り出したらいいのかも分からず、申し訳なかった、というようなことを説明してくれた。

「そんなこと、気にしなくてよかったのに。Aさんは僕の恩人だし、それに出会った時の僕は、ただの大学生だったんだから。」

「それでもね、今はもう分かってるから。山本くんとお話ししたいと思っている子はたくさんいるだろうし、これ以上こんなおばさんに構ってくれなくていいんです。ありがとうね、山本くん。」

A さんは、そう言って手に持っていた本をパタンと閉じた。

「Aさんは、なんでもない僕を、大変そうだなって思って、助けてくれたわけでしょ？」

荷物を片付けようとするAさんに向かって、話し続ける。

「え…？」

「そりゃ、YouTuberって人気商売かもしれないけど…でも、Aさんは普通の大学生の僕の…友人、じゃないですか。そんなの、関係ない。」

Aさんは大人だから、きっと僕のことを考えてそう言ってくるてるのだと、わかる。
でも、昔から僕のことを知っている友達以外で、こんな普通に話ができるAさんと、ここで縁を切ってしまうのは、何故だか嫌だった。