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春の香りにうっとりする4月の上旬。新学期。
新しく始まるキャンパスライフに、ときめきと少しの不安。けどそんな不安は、見守るように優しく降りそそぐ春の日差しがやわらげてくれる。
大学と実家はそう遠くなくて、電車で20分。三限の開始時間に合わせて乗った電車は空いているからちゃんと座れる。向かい側の大きな窓から差し込むお日様にポカポカしながら大好きな音楽を聴く20分間が大好き。この時間は誰にも邪魔されたくない。乗り過ごさないように、ときどきドアの上の表示板を確認する。
楽しい時間は過ぎるのが速い。もうすぐで最寄り駅に着いてしまう。駅から大学までの歩く間も音楽は聴くけど、歩いている分、電車の時と比べてぼんやりとは出来ないので、いつも電車を降りる時は少し惜しい気持ちになる。
私がホームに足を付けたのと同じタイミングで次の曲がはじまったので、「おっ、タイミングばっちり〜」と心のなかで呟いて、今日はラッキーデーなのかな〜なんて浮かれていた矢先、おじさんが私の肩に勢いよくぶつかりながら追い越して行く。不意打ちでくらったかなりの衝撃に驚きを隠せず、私はワイヤレスイヤホンが片耳外れてしまったことにも気付かずに少しの間立ち止まって圧倒されていた。
せっかくうきうきだったのに何あれ。謝りもせずに感じ悪い。けっこう痛かったし。あの人には今日アンラッキーなことが起こればいいのに、とかなんとか色々頭の中でぶつぶつしながら突っ立っていたら、
「けっこう痛そうでしたけど大丈夫ですか？
これ、違いますか？｣
と、大きい目と長くて密度の高いまつ毛が印象的な男の人に話しかけられた。
彼が纏う雰囲気は、私の大好きな春の日差しのようで、それでいて真夏の太陽みたいだった。私への心配の色を含む彼の目が瞬きをする。その一瞬がスローモーションになる。それと同時に、私この人のこと好きだ、そう確信した。わたしが彼のことを好きになるのは当然だというように、彼への好意はごく自然に芽生えた。
とにかく、今落ちたイヤホン拾って私に差し出しているこの男性に、私は一瞬で恋に落ちたのだった。
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KH(プロフ) - りーこさん» コメントありがとうございます(*´˘`*) ワクワクを裏切らないように頑張りますね！！ (2023年2月4日 11時) (
レス) id: 43c3b720cd (このIDを非表示/違反報告)
りーこ(プロフ) - 私もAH LOVEがセブチの中で一番好きで、今回エスクプスさんの恋物語ですごくワクワクしてます！！ (2023年2月4日 1時) (レス) @page3 id: 0ec5ee3d2b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：KH | 作成日時：2023年2月2日 4時
