愛してあげる、全部。 (ページ6)

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水を飲んだら結構スッキリして、

俺は今知らない女の人にもたれかかってるという状況を把握出来るくらいには余裕ができていた。

あー、この後どうする？俺。

マネヒョンも来る気配ないし、、、

てか頭は働くようになっても体に力が入らなくて立てない。

やばいなー、

なんて、他人事のように思っていると女の人がボソッと何か言った。

なんつった？？クラブから漏れる爆音のせいで全然聞こえないしもっと大きい声出せよ、なんて思ってたら、

『あの！！！！！！起きてください！！！
ここ！路地裏です！危ないです！
タクシー呼ぶので！起きてください！』

今度は大声を出してきた。

いや、声デカすぎ。

仮にも具合悪い病人(？)なのに、、、

この人の大声が、アルコールに侵された俺の頭に響いて頭痛となる。

俺は思わず手で頭を抑えた。

俺が文句以外何も言わないことに痺れを切らしたのか、

女の人は俺のことを抱きかかえて立とうとした。

いやぁ、無理だろ。

案の定無理だった。

ちょっと考えれば分かることなのに、

この人バカなのか？？

いや違う。

こんな面倒くさそうな奴のために路地裏に来るなんて

相当なお人好しなんだ。

そんなことをぼんやりと考えている俺のことを抱きかかえる腕は細くて、

なんというか、ドキッとした。

べつに、興奮するとか、抱きたいとか、

そういうドキッじゃない。

もっとこう、純粋で、真っ直ぐで、

つん、と俺の心に触れるような。

クラブで見る女のカラダより、

ベッドの上で聞く女の声より、

その子が俺を触れた感触の方が俺を動揺させた。