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●初恋と失恋●カコ ページ16

貴女side








あの後、私達は家に帰った。


行きと同じ様に黙って手を繋ぎ、ただ2人で歩いた。


言葉なんてもう必要なかった。






紬「じゃあ世羅ちゃん、また明日ね。」




『はい、せんせ、また明日、』






来るはずのない明日を約束して、先生が遠ざかってゆく。


もう2度と会えないかもしれない先生が。



…先生は振り返る素振りさえ見せなかった。



角を曲がって見えなくなった先生への未練は涙になって零れた。


…嗚呼、止まらなくなりそうだ。






母「世羅、言い忘れていたけれど、明日からあの方はいらっしゃらないわ。


…もう変な気起こさないよう私が教えることにしたの。


でも私だってそう暇じゃないんだから、無駄に時間を割くのだけは、やめてちょうだいね。」






そういう母に返事も返さず、逃げるように部屋まで駆ける。



…思えば、これが私の唯一の反抗だったかもしれない。






『…はぁ、はぁ、…っ、…っう、うぅっ…』




部屋に入った私は、普段閉めない鍵を閉め、布団に顔を埋めて思いっきり泣いた。






私はこの感情の名前を知らない。



先生に名前を呼んでもらって、胸がぽかぽかして、


先生の秘密を知って、心が震えるくらい嬉しくて、


先生に手を握られて、心臓がどきんと飛び跳ねて、


最後に先生に「特別」なんて言われて、胸がギュッとしてる…


…そして、私に背を向けて、1度も振り返らずに歩いていく先生を見て、どうしようもなく涙が止まらない…



…私はこの感情の名前を知らない。




…でも、これはきっと失恋なのだろうとも思う。



恋すら自覚していなかったけれど、


好きだと伝えることも出来なかったけれど、きっと。




きっと、先生の言動に心揺れる、今までの時間全てが私にとっての「初恋」で、この喪失感に涙している訳が「失恋」なのだ。

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架月*(プロフ) - あゆみさん» ありがとうございます!そう言って頂けるだけでも光栄です。しばらく更新せずすみません。お待ち頂けると幸いです。 (2019年5月2日 0時) (レス) id: ea4fa5b53c (このIDを非表示/違反報告)
あゆみ(プロフ) - お話とてもよかったです!私の語彙力ではこの良さが上手く伝えられないのが残念です。IIが公開される日を待ってます! (2019年4月29日 4時) (レス) id: bf0195af74 (このIDを非表示/違反報告)
架月*(プロフ) - みるみるさん» はじめまして!コメントありがとうございます!パスワード配布は個別では行っておりますが、続編の進捗が芳しくないため、ある程度出来てから公開する予定です。お待たせしてしまい大変申し訳ありませんが、ご理解の程お願い致します。 (2019年1月18日 20時) (レス) id: ea4fa5b53c (このIDを非表示/違反報告)
みるみる(プロフ) - はじめまして!すごく面白くて続編を読みたいのですが、パスワード配布は行ってないのでしょうか?すごく面白いので続きが気になります!! (2019年1月18日 19時) (レス) id: 6742b292a3 (このIDを非表示/違反報告)
架月*(プロフ) - 黒猫♪♪さん» ありがとうございます!しばらく更新していませんが、少しずつ進めてはおりますので、もうしばらく待っていただけると嬉しいです。 (2018年6月20日 20時) (レス) id: da79932a2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:架月* | 作成日時:2017年4月24日 1時

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