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バタン、ガチャ。
「待った。カギ閉める必要なんてっ!!」
ないでしょ。っていう最後の言葉は出てこなかった。カギを閉めた降谷さんより先に入った私は、カギの音に反応して思いっきり後ろを振り返ったら、そこにはカギを閉め終わった降谷さんの顔面。あと数センチで鼻と鼻がくっつく距離にまた私の心臓が静かに悲鳴を上げた。
「……近いです。」
あくまでも、ポーカーフェイスで。悟られてはいけない。
気づかれるな。
私が彼を好きなことを―――
「なぜ、そこまでイギリスに帰りたがる?
日本の警察では勉強になるものがないとでも?」
「そんな事は言ってません。私はMI6です。主な仕事は情報収集です。公安警察の方とは仕事が違う。」
「そうだ。だから、手伝ってほしい。」
「はぁ?」
私たちはそもそもの仕事ジャンルが違う。それを提示した上でこの判断になった理由を聞こうとした。なのにも関わらず彼は堂々と私に仕事を手伝えといった。
「言ってる意味わかってます?MI6の情報を使えってことですか?」
「そこまでは言ってない。お前の上司もそこまでの許可は出してくれなかった。
要はお前がこの日本にいる間俺らと行動をともにして警察に有利になる情報収集をしてくれ。ということだ。
なんだ?イギリスじゃないとまともやれないのか?」
「っ!!!!やってやるわよ!!!
・・・あ。」
頭に血が上って少し煽られただけなのに、承諾してしまった。
しまった。断るつもりでいたのに…。
しかも、距離は先ほどよりはとったとはいえ、結構な至近距離だ。
顔に血液が集まる前にこの部屋から退散しよう。
そう思っていたのに
「そうか。」
「っ!!ちょっと!!」
離れようとした私の腕を掴み自分の胸の中に私を収める降谷。
降谷の心臓が少し早い気がして、思わず私も息をのんだ。
「忘れてないよな?」
「は?」
「今度は本気でオトす。お前を日本に留めて、俺のモノにする。」
「っ!!!やめっ・・」
「やめない。二度とどこにも行かせない。この1か月で俺はお前の気持ちを絶対手に入れてやる。覚悟しておけ。」
額を合わせて、目線をそらせないように視界を彼いっぱいにされる。
ド○○キ、心臓の音が彼にも伝わってしまうんじゃないかって心配しながら、なんとか入る力をふり絞って彼の肩を押す。
パンッ!
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作者名:kgymk | 作成日時:2019年11月27日 17時