じぇら。 ページ42
本部内を全速力で駆け抜けることなど、今日以外に無いと思う。
「A！！」
「私なんかほっといて倫さんや柚宇さん達に囲まれてればいいじゃないですか！！」
普段の彼女からは考えられない、ぶっきらぼうな声がとげとげしく飛んでくる。
投げやりな言葉尻に、眉を寄せ声を張った。
「しねェよ！！待てって！！」
どこに向かっているのかも分からぬまま、右へ左へと白い床を踏み鳴らしていく彼女を追いかける。
時折壁を撫でつけ勢いを増しやがるし、曲がり角でギッと厚底部分が形を変える程体重移動が様になっているせいで中々差が縮まらない。
身体能力やセンスを兄貴達に鍛え上げられた彼女がその恩恵を俺に対してフル行使するのは大層珍しく、奥歯を噛み締めた。
「ッ…逃がすかよ」
ギリィ、と自身の歯が擦れ合う音を聞きながら、少しずつ彼女の背を視界目一杯に入れていく。
細い腕をひっつかむ頃には広がった肺が激しく動いていて、暫くその場にとどまっていた。
「っは、…A、……おまッ、あし、……はや……クソ…」
「だてに、……おにい、ちゃん、…たちの喧嘩で……っはぁ、…一緒、逃げて、……ない、んで……」
久しぶりに全力疾走した、と途切れ途切れに零す彼女はいつもおしとやかだと言い張っているが、サイレンの音にいち早く気づきずらかる経験者はほとほとおしとやかとは認めづらい。
「っ……来い」
「う、ぁっ」
息も切れたまま、彼女の腕を引き近くの仮眠室へと入る。
ロックを確認して、細い腕を離した。ベッドにどかりと腰を下ろし息を整える俺の近くで、俯く彼女の肩が少しずつ落ち着く。
「…A。」
「……。」
見上げた俺に顔を背け、腕をぎゅっと握る彼女からちくちくとマイナスな感情が刺さる。
控えめではあるが、確かに伝わる事こそ滅多になくずきりと心臓が痛んだ。
こうして視線が交わることもなく、重苦しい空間になったのも本部全力疾走の数分前の事。
荒船や当真達とランク戦ブースにいた際、同じ学年の国近たちを始めとしたオペ軍団が声をかけてきた。
雑談まではよかったのだが、俺がスマホから顔を上げる頃には筋肉量がどうだとかプロテインがどうだとか粗方原案者の分かりきった話へ変わっていて。
やたらめったら腹筋やら二の腕やらを触られ振り解いている瞬間を彼女に見られたわけで。
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Umi(プロフ) - 君の瞳に鉛弾さん» オワー！！共に沼で遊びましょう！コメントありがとうございます！ぜひ影浦くんに溺れてください(？？？) (2021年10月18日 14時) (
レス) id: 1d9c35310c (このIDを非表示/違反報告)
君の瞳に鉛弾 - 影浦沼は存在したのだ…こちらこそ供給過多で窒息死しそうです (2021年10月11日 4時) (レス) @page25 id: 04b80a02c7 (このIDを非表示/違反報告)
Umi(プロフ) - Aさん» ありがとうございます！わぁぁそう言って頂けてとても嬉しいです…！！ぜひ影浦沼へっ！続きがんばります！ありがとうございます！ (2021年9月19日 18時) (レス) id: 266bb1a809 (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 続編おめでとうございます！めちゃくちゃお話が好きで一気に読ませていただきました！これからも続きが楽しみです、、、今ものすごくキュンキュンして推しじゃないのにカゲさんが好きになりそうです、、、、！更新待ってます！ (2021年9月18日 12時) (レス) id: 373120d77d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：み
| 作成日時：2021年9月17日 11時
