【カゲプロ短編集】目隠し。2

チョコより欲しい*ヒビヤ(バレンタイン) ページ9

ヒ「だいたい、こういうのってこっそり作っておくもんじゃないの？」

貴「えー・・・」

私は持っていた泡立て器を皿の上に置いた。

カタンと音が鳴る。

貴「だってヒビヤあんまり出かけたりしないから隠れて作るとか無理だし」

ヒ「・・・・そこはうまい具合に僕を追い出すくらいしないと」

貴「でもヒビヤ勘いいからすぐ気づいちゃうでしょ」

私の反論にヒビヤは

ヒ「あー、うん」

と曖昧に返す。

貴「それなら隠すだけ無駄だよね！」

笑顔でそう言うとヒビヤは呆れたようで盛大なため息をついた。

チョコに気持ちがこもってることが大事だもんね。

私は開き直ると再びチョコ作りに取りかかった。

―――

ヒ「――、――― A！」

貴「へっ！？」

私は大声をあげ飛び起きた。

あれ？私ケーキ焼いてて・・・えっ？

貴「焦げ臭い・・・」

ヒ「だいぶ前からね」

貴「え！？」

慌ててオーブンを見に行くと真っ黒になったケーキがあった。

貴「あああああ〜・・・・」

落胆の息をつく私の後ろでヒビヤが

ヒ「バカ」

と罵った。

貴「う、だって・・・ちょっとウトウトしてたらこんなことに・・・」

作り直さなきゃ、

私が新しい材料に手をかけようとするのをヒビヤが阻んだ。

貴「ひ、ヒビヤ・・・？」

ヒ「いーよ、別に作り直さなくても」

貴「・・・・え？」

どきりとした。

貴「ど、どうして・・・」

ヒ「その気持ちだけで嬉しいし。・・・別のをもらうから」

私が聞き返すより前に私の口を塞ぐヒビヤ。

貴「んっ・・・」

ヒ「これだけでも、十分幸せ。・・・・。」

呟くように言った。

貴「・・・ヒビヤ？」

いつもと、違う。

顔を覗き込むと、

ヒ「っや、やっぱなんでもない！こっち見ないで！！」

突然顔を隠すようにして、ソファに寝そべり顔を埋めてしまった。

貴「・・・ねぇ、ヒビヤってば！」

ヒ「うっさいな！言ったの後悔してるんだよ！！！////」

肩を震わせさらに頭を抱える両手に力がこもったようだった。

貴「・・・ねぇーヒビヤ、」

ヒ「・・・・・・なに」

ちらりと腕の隙間からこちらを伺うヒビヤに私は思い切り抱きつく。

ヒ「うわっ・・・・A！///」

貴「えへへ、チョコはまたちゃんと作っておくからね、」

ヒ「あたりまえでしょ・・・」

呆れているようだったけど、ヒビヤは笑っているみたいだ。

終わり←寝惚け*コノハ(バレンタイン)

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