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君の後ろ姿*セト ページ3

セ「Aー、」

貴「んー・・・もうちょっと待って・・・」

そんなやり取りを繰り返してどれくらい時が流れただろう。

受験勉強に明け暮れるAの背中を俺は恨めしく見つめた。

残念なことに自分は特別に勉強ができるわけではない。

だからこうして口を出さず見守っているのだ。

構ってほしい・・・

本音が出かかるのをグッと抑えた。

こういうとき、彼なら勉強を教えてあげるだろうに。

貴「・・・・うーん、」

悩んでいるような様子の後ろ姿に声をかけられない。

部屋の外から携帯の中の少女に罵られる彼の声がする。

セ「・・・やっぱ俺、外出てるっすね」

これ以上ここにいても虚しいだけだ。

そう思いAに背を向けた。

貴「あっ・・・待って!」

不意に呼び止められる。

セ「なんすか?わからないとこならお兄さんに・・・」

貴「そ、そうじゃなくて!」

やけに慌てたような表情をするAに俺は疑問が浮かぶだけだった。

勇気を振り絞ったように震えた声がした。

貴「セトが・・・近くにいるほうが落ち着くから・・・その、えと・・・・」

言葉を見失ったように狼狽するA。

俺は心のなかに暖かいものが湧き出てくるようだった。

セ「・・・Aがそう言うなら!遠慮なくいるっすよ!!」

思わず声を張った。

貴「うん・・・・あの、それでね?」

Aは急に顔を赤くした。

セ「??」

貴「あ、頭・・・撫でて///」

消え入りそうな声でそう言った。

セ「っ・・・・////」

貴「あああ!!!やっぱ忘れて!!////」

顔を隠すように机にうつ伏せるA。

セ「・・・・」

俺は後ろからそっと肩を抱いた。

そしてゆっくりと頭を撫で、髪をすく。

セ「A、ちゃんと勉強頑張ってるっすからね・・・ご褒美っす」

俺が離れるとAは赤い顔も気にせずバッと起き上がった。

貴「せ、セト・・・///」

セ「ん、大丈夫っすよ・・・ちゃんとそばにいるっす」

俺はまた近くの椅子に腰掛け、Aに手を振った。

貴「・・・あ、ありがと・・・」

Aはまた机に向き直ると、

貴「よしっ」

やる気を出したのか黙々と勉強を始めた。

俺はAの後ろ姿がさっきより愛しく感じている自分に気付いた。

俺はちゃんとAの支えになれている。

自信、とでも言えるだろうか。

どうしようもなく嬉しい。

強がり下手*シンタロー→←華*コノハ



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ヒーナー - シンタローヤバイっすね(ハァハァ こんなのかけるひとマジ尊敬します!!!! (2015年2月10日 17時) (レス) id: 6db8963cca (このIDを非表示/違反報告)
ナイト - 初めまして、最初から全部読みました!とっても面白かったです!(^_^) リクなのですがセトの甘甘で夢主が盲目設定でお願いします! (2014年4月28日 19時) (レス) id: f67e4b6780 (このIDを非表示/違反報告)
†風魔†(携帯) - 更新大変遅くなってしまいました!!しかし作者は入試に合格しましたので!!!これから大急ぎで更新いたします!長い間お待たせして申し訳ありませんでした!!!! (2014年3月25日 1時) (レス) id: e02fabb00f (このIDを非表示/違反報告)
*ぱぴこ*(プロフ) - 相変わらずの甘甘で・・・// ホワイトデー版もありますよねっ!?フヒヒヒヒヒ((( (2014年2月27日 23時) (レス) id: 0ec05e36b3 (このIDを非表示/違反報告)
†風魔†@受験生(携帯) - キリカさん» ありがとうございます!暇さえあれば小説のネタを考えているので思ってたよりいっぱい更新できてますwww (2014年2月3日 1時) (レス) id: e02fabb00f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:†風魔† | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/maria/  
作成日時:2014年1月30日 7時

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