4.どうやら、5年以内に死ぬらしい。【ヒロアカ】 (ページ36)

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保須事件4 ページ36

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真っ先に頭に浮かぶのは、外壁が頭に直撃することによる、死。

そうでなくとも火傷は逃れられそうにない。

ヒーローとしての立ち振る舞いとして正しいのはきっと、抱えている男性を守ることだろう。

でも、どうすれば守れるんだろう。

怪我をしている人を突き飛ばすなんて非情だし、かと言って庇うようにして倒れても、巻き添えにしてしまうだけだ。

それ以上に、まだ死にたくないという思いが募る。

でも私には、5年以内という制約があって。

焦らなきゃいけない状況なのに、外壁が落ちてくる様子は、スローモーションで目に映る。

「アクアちゃん！大丈夫！？」

澪さんの叫び声が聞こえて、澪さんの個性により燃え盛る炎ごと外壁が飛ばされていく。

「……消火が進んだから、アクアちゃんの様子確認しようと思ったんだけど、放っておいてごめんね」

「……だ、いじょう、ぶ、です」

途端に通常通りに回り始めた世界だけれど、私の思考は追いつかない。

知らない土地で、知らない人を助けるというのは、これ程までに怖いのか。

「アクアちゃんはとりあえずここから離れようか。お兄さんも行きましょう！」

「わ、分かりました……」

「頼むよ」

声と身体の震えをどうにか抑えて、避難する予定の方向へ身体をシフトする。

男性の方は澪さんが支えて、私たちが歩きだそうとした時だ。

「……ああああ！！！」

「脳無……！」

「離れろ！！」

私たちの目の前に突然現れた脳無だったが、真っ赤な炎に焼き消され、気絶していく。

「えっ、エンデヴァーさん！！」

男性が叫んで、エンデヴァーはすごい形相でちらりとこちらを見る。

「俺に構っている暇があるなら早く避難をしろ……って君は」

私は慌てて視線を逸らしたが、見事にロックオンされてしまった。