4.どうやら、5年以内に死ぬらしい。【ヒロアカ】 (ページ18)

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夢路ページ18

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気まずい空気の中ファストフード店を出る。

「私、あっちだから」

「……送る」

「でも、駅は逆でしょ」

「気にしなくていい」

でも、と轟くんに反論しようとしたところで、口を噤む。それが恋人のやりとりだと気がついてしまったからだ。

かっちゃんは傘で表情を隠し、私らと別方向へ歩いていく。

「……爆豪、明日な」

轟くんの言葉に、返事はない。

＿＿＿＿

前もあったなぁ、こんな感じ。
確か耳郎ちゃんと上鳴くんと出かけた日だった。

家に返って夕飯を済ませ、風呂に入って歯を磨き……
眠りについたところまで覚えているから、これは例の夢だろう。

『やっほー！』

今日もまた、自称『神』の少年が、私の目の前で微笑んでいる。

「やっほー、じゃないよ。今日は何？」

『轟くんと付き合うんだね！おめでと！』

「そりゃどーも」

パチパチと手を鳴らす少年は、私の無愛想な返事を聞いて、プクーとほっぺたを膨らませる。

『もっと喜んで！？』

「期限付きだし、別に轟くんも私も、お互いが好きってわけじゃないし」

『華の高校生の恋愛が！！そんなんでいいのか！！！』

「いいんです！！！」

5年以内に死ぬ制約を作ったのは、そっちの方じゃない。
そうじゃないなら、私だって普通に恋愛していたかもしれないのに。

自称『神』の少年は、私の思考を読み取ったらしく、『ごめん』と呟いた。

『でもさ、君楽しそうじゃん。それじゃダメなの？』

「ダメです」

何度聞かれようと、私は推しの幸せが一番なんです。
どうせ私は5年以内に死んじゃうんだから、推しを悲しませたくないんです。

「話はそれだけなら、私を熟睡させといてよ。明日もきっと大変だよ」

そろそろ英語の小テストの時期がやってくる。
マイク先生は意外と抜き打ちをやるのが好きだから、ヤオモモに質問しておきたい。

私のそんなお願いを聞いて、自称『神』の少年は顎に手を置きながら、反対の手で私に手をふった。

『またね』

「……うん」