8話 ページ9
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ふわふわした金色の髪に縁なしの眼鏡、そして琥珀色の目をした青年は、「何？ どうしたの？」と首をかしげながら部屋に入ってきて、そして私を見ると驚いたように目を見開いた。
「……は？ え？ この子、誰です？」
そんな素直すぎる感想に、瑠璃色の瞳の方の青年が「成り行きで連れてきた罪人」と答える。「「罪人？」」という金髪の人、そして私、二人分の声が綺麗に重なった。
「罪人？ 君が？」
「罪人！？ 私が！？」
声のトーンが違うだけのまったく同じ言葉を返すと、「違うのか？」と瑠璃色の瞳の青年は首をかしげた。
「あの牢屋にいたから、てっきりそうだと思ったんだけど」
「あの牢屋、って＿＿え、何、もしかして君死刑囚？」
「は！？ いやいやいやいや！！」
突然聞こえてきた物騒な単語にぶんぶんと首を振る。衝撃的な発言に涙も引っ込んでしまった。
だって私は何の罪もおかした覚えはない。万引きも殺人も詐欺も不法侵入も、カンニングとかも一度もやってない。確かに嘘はついたことがある。あるけど、でもそんなので死刑になってたら今頃人類の8割は死んでると思う。……そうだよね？
そんなことを考えると同時に、いよいよ私は
……いや、それは多分、最初からわかっていたことではあった。
最初の不可解な状況。現代日本ではそうそうお目かからない容姿や名前。先ほどの鍵が突然開く現象。目の色が変わったりする。
それらを総合して、そしてこれがお芝居やドラマかなにかの撮影でないのなら、もう可能性はひとつしかない。どっかの名探偵も言っていたじゃないか。違うものを除外していったらどんなにあり得なくてもそれが真実だと。
だから、なんとなくわかってはいた。わかってはいた、のだけれど＿＿脳みそが考えることを拒否していたのだ。
つまり、
「あの、」
声をあげると何やら会話をしていた二人がこちらを向いた。何？ という問いに一度息を吸い込んで、そしておそるおそるそれを口に出す。
「＿＿＿ここは、一体どこですか？」
その問いに、二人はきょとんと顔を見合わせた。「俺たちのアジ＿＿いや、住んでるところだけど＿＿そういう意味じゃない？」という言葉にうなずく。すると、ここは、という言葉の後に、その言葉は続けられた。
「ホーラー大陸の北端、ヒエムス王国の王都、ウィンテルだけど」
これまでの人生で一度も聞いたことがない単語が出てきて、ぐらりと頭が揺らいだような気がした。
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作者名：ホロスコープ | 作成日時：2022年5月4日 16時
