【WT】マンホールに落ちたら指名手配されたんですが誰か無実を証明してくれ (ページ8)

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7話ページ8

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　その様子を見てぎょっとしたように瞳を見開いた青年は、「何で戻って＿＿」と呟いて、私を睨みつけてきた。

　「……お前、これに何した？」
　「は？ _______い、いやいやいや何もしてないですって！！ ……あ、えっと、飴を口の中に突っ込みましたけど＿＿」
　「飴？一体______」

　言葉は途中でピタリと途切れた。ガチャガチャという鉄が触れる音と共に、手に剣を握った鎧集団がやってきたからだ。青年の顔が一瞬でこわばったので、どうやら仲良くやれそうな相手ではないらしい。

　彼は再び舌打ちすると、「こんな時に＿＿」と悪態をついて、そして次に、ガシリと私の首根っこを掴んだ。

　「へ！？」と叫んだ私に「黙ってて」と言い、彼は何やらぶつぶつつぶやく。瞬間、地下牢の石の床にオレンジ色に光り輝く複雑な模様が表れた。

　「_______ポータルレポート！」

　そんな声を聞いたと思った次の瞬間、私は首根っこをもたれたままぐるぐると勢いよく回転していた。回転は段々強くなり、終いには目で追えないほど速くなって、首が絞まって意識まで落ちそうになる。

　ヤバい、今度こそ死ぬ、首ねじれて死ぬ＿＿

　と、朦朧とする意識の底で思った時。唐突に平坦な地面に投げ出された。

　「ぎゃふ」というカエルが潰れたような声を上げ、床にベチャリと転がる。

　数秒後にどうにか起き上がれば、目の前数センチのところに瑠璃色があった。思わず「うぎゃあ！？」と叫んで飛び起きる。咄嗟に身構えた私を呆れたように見下ろした青年は、無遠慮にじろじろと私を眺め回した。そして、

　「……で、なんでお前は生きてんの？」
　「……は？」

　もうわけがわからないことばかりだ。これは一体何なのだろう。周りの景色が明らかに先ほどまでの地下牢と違うことや、何か珍獣でも見るような青年の目つき。極め付けには急な哲学的な問い。

　わからない。もう何もかもがわからない。家に帰りたい。

　そう思った途端、青年が驚いたように目を見開いて、「は！？泣くなよ！」と焦った声で言う。

　その言葉に、初めて自分が泣いていることに気づいた。気づいたから止めようとしたけれど、残念ながら止まらなかった。

　そんな私を見て青年は「えぇ、面倒くさ……」とため息をつく。

　俺、そういうの担当じゃないんだけど、と言って、彼は「ねぇちょっと、ロギ……じゃねぇ、えー……っと、きりやん！」と扉の向こうへと大声を出した。

　
　その叫びから数秒後、パタパタという足音と共に部屋の扉が開く。現れたのは、一人の青年だった。