【WT】マンホールに落ちたら指名手配されたんですが誰か無実を証明してくれ (ページ7)

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6話ページ7

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　何？と身構えた次の瞬間、急にその人？の表情が変わった。

　ギラギラ輝いていた瞳が急に冷えていき、理性を失ったように見えた表情が、憑き物が落ちたような、力が抜け落ちたような表情に変わる。次いで、シュワ、という炭酸の蓋を開けた時のような音と共に、真っ赤だった瞳が、海の底のような深い青色へと変わった。

　そして、その人はそのままがくりと崩れ落ち、青を瞼で隠すと私の肩にのしかかってきた。そのあまりにも急な変化に驚いて、まさか毒だったのだろうかと思わず飴の包み紙を見る。至って普通の飴だった。

　一体何がどうしてどうなって、そしてこの人は何で何がどうなって、とあわあわしていると、急にバタバタとなにかが走ってくるような音が聞こえた。今度は牢屋の中からではなく、外側からだった。

　何事かと鉄格子の外を見やれば、丁度何者かが牢屋の前に飛びだしてきたところだった。全力で走った後のように、非道く息を切らしながらその人が顔を上げる。その反動で、その人が被っていたフードが後ろに流れて、鳶色の髪と瑠璃色の瞳があらわになった。

　新たな人物の登場に誰！？とぽかんとしてそちらを見ていると、その青年は私を見て驚いた様子で目を見開いた。

　「え！？なんでまだ生きて＿＿」という声が聞こえて、次にバタバタと後ろが騒がしくなった。その音は彼が飛び込んで来た入り口の方からのもので、彼もそれに気づいたらしい。小さく舌打ちをすると、「そこどいて！！」と私に向かって叫んだ。

　その手には一体どこから表れたのかわからない、先に赤色の宝石があしらわれた長い杖が握られていて、杖の先の宝石はまばゆく輝いていた。「オペリオ！」という言葉と共にその杖から赤い光のようなものが飛びだし、私が押しても引いても蹴っても開かなかった牢屋の扉が大音量を立てた。ガチャン、と巨大な錠前が落ちた。ギイィ、と開いた鉄格子がたてた軋んだ音も、石造りのその場所にはとてもよく響いた。

　_______そう、誰でも気づくらい大きく。

　「＿＿鍵開け魔法の音が聞こえたぞ！！こっちだ！」
　「あいつめ、やはり＿＿」

　とぎれとぎれの罵声がこちらへ近づいてきているのを察したのか、「やば、」と青年が小さくつぶやく。そして、次の瞬間には彼は牢屋の中へと飛び込んできていた。

　彼は私、ではなく私の目の前で未だにぽかんとしている人間……？の方へと賭けより「きんとき！！」と叫んだ。

　その声に目の前の人？がピクリと反応し、「ぶる……く？」と小さく何かをつぶやいて、そしてそのまま気絶した。