25話 ページ26
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胸の悪くなるような話に顔をしかめると、彼もまた小さく肩をすくめて言う。
「そういう理由で、何であれこいつをあの環境から奪還する機会を与えてくれたお前には感謝してる。……それに、反応を見ている限りは本当に＿＿少なくとも自覚していないという点では＿＿闇の巫女じゃないらしい。だから、」
そう言うと、彼は取り出した杖でとん、と机を叩いた。そこから紫の光が出てきて、1枚の紙が舞い上がる。紙は、吸い寄せられるように私の手元にやってきて、そして私はそこに書かれたものを見た。それは、筆記体のようなもので書かれた文字と、誰かの顔写真が載っている。鳶色の髪と瑠璃色の瞳の写真の人には見覚えがあった。
「あ、この人＿＿さっきの二人組の＿＿えっと＿＿あ、そうだ、ロムルスの方が化けてた人！？」
「コイツの名前はブルーク・ルブルフ。俺の知り合いで、宮廷魔道士だ。お前ともう一人をこの世界に呼んだのはおそらくそいつだ。だから、そいつに会いに行けばお前がなんなのかわかるかもしれない」
「宮廷……って、私が捕まってた牢屋があるところですか！？」
「あぁ」
ことも投げに答える青年を見て、あの恐ろしい王宮か……とあからさまにげんなりした顔を見て、青年が
「まぁ多分、明日＿＿もう今日か＿＿の夕方になればそいつはここに来るはずだから、お前もここで休めば良い」
「……へっ！？ い、良いんですか？」
「一人増えたくらい変わらないからな」
青年が、そこで始めて小さく笑みを作る。そういえば忘れてた、とつぶやいて、顔を私へと向け、ついでに握手を求めるように手を差し出してきた。
「俺の名前は、スマイル。スマイル・ヴィジュレ」
少し躊躇った後に握り返したその手が普通のものよりもかなり冷たいように思って背筋がゾワッとしたが、一瞬だったので気のせいだったのだろう。
続く (更新停止中)
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作者名：ホロスコープ | 作成日時：2022年5月4日 16時
