18話 ページ19
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辿り着いたその場所は、薄暗く、ほんの少し埃っぽい部屋だった。隅の方で黒い鉄製の薪ストーブがパチパチと燃えていて、木造のダイニングテーブルと椅子、後は何やら様々なものが置かれているだけの簡素な部屋。
今度は放り投げられることもなく、ふわりと足から着地する。そこでようやく手を離した彼は、「……ベッド……いや、ソファか」とつぶやくと、何やら小さな声で唱えた。その瞬間、床になにかの文様が表れ、そしてその文様からズズ、とソファが姿を表す。
今更ソファが出てくるくらい、と思わなくもないがやっぱり驚いて目を瞬かせていると、彼は表れたソファにシャボン玉のようなものに包まれた青年をそっと寝かせた。そして、「毛布」と呟いて戸棚へと向かってその蓋を開き、ごそごそとあさる。
「……あの……」
「何だ？」
「毛布って、それですか？」
椅子に引っかかっていたふかふかの布を指し示すと、青年がそちらを見て、「そうか……洗濯したんだった」と言った。そうしてそちらへ向かい、毛布を取る。再び歩いて、それをソファの上の人にそっとかけた。そのまま数秒未だ倒れているその人の顔を見つめる。ほとんど動いていなかった表情が、少しだけ悲しげに見えた。
「……お前が」
「へ？」
「お前が、こいつをあの牢屋から連れ出したのか？」
ぽつりと漏れた問いに言葉に詰まって、素直にいいえ、と答えた。
「いいえ。この人と私をさっきの場所に連れていったのは、あの二人組です」
私の言葉に、彼はピクリと反応して私の方を見た。
「……お前じゃないのか？」
「違います」
「じゃあ、なんでお前は生きてる？」
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作者名：ホロスコープ | 作成日時：2022年5月4日 16時
