【WT】マンホールに落ちたら指名手配されたんですが誰か無実を証明してくれ (ページ2)

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1話ページ2

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　世の中には2種類の冗談が存在している。

　そのうちの一つは『笑える冗談』。そしてもう一つは『笑えない冗談』だ。

　冗談が本当にその二つに分割できるなら、今現在私が置かれている状況は間違いなく＿＿それはもう、一点の曇りもなく、“後者”だった。

　何を急に、等と私を訝る人は一度体験してみたらいい。バイトから帰る途中にマンホールにうっかり落ちて意識を失って、気がついたら怪しく紫に光る床に倒れてて、目の前に黒服の集団と物凄く厳つい顔をしたおじいさんと、同じく倒れている美少女がいるという異常事態を。

　あまりにも突拍子もなくて、夢かと思って二度寝しようとしたわ。頭にできてたたんこぶが痛すぎて眠れなかったけど。

　トンデモ展開に唖然としながらどうにか起き上がれば、時を同じくして横にいた美少女も起き上がったようだった。綺麗な長い黒髪の、多分高校生くらいの女の子。

　彼女もまた、驚いたように辺りを見渡して、困惑した顔をした。そして次に、不思議そうな顔をして何かを辿るような顔になると＿＿＿不意に、ぱあっとその瞳を輝かせ始めた。

　……え、何、どうしたんだろいきなりキラキラした顔をして。

　もしかしたら、これはなんかのテレビの企画だったりするのかな。だとしたらあのマンホールもまさか仕掛け？いやいやそれにしてはあまりにも乱暴すぎやしないだろうか。でも確かに最近は過激な方が視聴率が伸びるのかもしれないし、いやいや、うーん……？

　この状況が一体何なのかと一人頭を捻っていると、不意に未だ座り込んでいる私と美少女に影が落ちた。

　思わずと見上げると、そこにいたのは厳つい顔の老人だった。真っ白な髪の上に、鈍く金に輝く王冠を乗せている。今時王冠なんて、なにかのドラマの撮影なのだろうか？とさらに困惑していると、彼は重々しく口を開いた。

　「……どちらだ？」

　何が？というのが本音だった。

　全く話が見えてこない。いよいよ困惑も限界に達して、思わず隣の美少女を見た。そして私は、そこからさらに困惑することになる。

　「はい！！私です、レーゲル国王陛下！」

　鈴が転がるような声は、美少女の口から発せられていた。