【WT】マンホールに落ちたら指名手配されたんですが誰か無実を証明してくれ (ページ1)

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そして私は、ページ1

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　その日、私は普通に歩道を歩いていた。

　大学進学を機に始めて、今年で2年目になる個人営業の居酒屋さんのアルバイトの帰り道。バイトの内容は普通の接客業だが、不思議な縁で私はその店で働いていた。それがどんな縁かというと、時は1年前に遡る。

　1年前。入学してから3日目の私は、慣れない土地の来たこともない場所の地理に苦戦し、そして結局迷子になった。なんとか帰ろうにもさっぱり道がわからず、最悪なことに持っていたスマホは充電切れ。ザ・住宅街だったからか近くに人の姿もなく、知らない道の真ん中で途方に暮れていたときに、お店から出てきて声をかけてくれたのがその居酒屋の女将さんだったのだ。

　親切な案内のおかげでどうにか知っている道までのルートがわかり、後日お礼に伺う子とを約束してお店を後にした。そうして次の休みの日にお礼を言いに行くと、どうやらそれまで店を手伝っていた人が足を悪くして辞めてしまったのだという。そこで、手伝わせてくださいと申し出たのが、私のアルバイトの始まりだった。

　居酒屋と言うだけあって、帰りは遅くなるが給料も良いしまかないは美味しいし、何よりも女将さんもご主人も、お客さんも良い人ばかりだ。不思議な縁とはいえ、これは幸運なことだと思う。そんなわけで、夜の10時過ぎに私はこうして歩道を歩いているというわけだ。

　帰ったらとりあえずお風呂に入って髪を乾かして＿＿あ、でも遅いから近隣の人に迷惑かな。明日の講義は午後からだし、朝シャワーにしようかな。

　そんなことをつらつら考えながら歩いていると、急にガクンと身体が揺らいだ。理由は簡単で、踏み出した足の先に、地面が存在していなかったからだ。

　「＿＿＿へ？」

　それが何かを認識する前に、残念ながら私のもう片方の足は前に踏み出していた。そうなれば、後はとても簡単で、落ちるだけ。

　「ちょ、まっ＿＿＿」

　伸ばした手は虚しく空をかき、発した声は誰の耳にも届かない。届いていても、間に合わない。だとすれば、生まれてこの方バンジージャンプなどやったことがない私は、人生初の浮遊感に悲鳴を上げる意外に道はない。

　あっという間に変化する視界の端に、置きっぱなしにされている丸くて重たそうな鉄の蓋が見えた。住んでいる場所のシンボルマークが書かれた、よく道にあって、そしてその下の穴を塞いでいる蓋。その存在は、おそらく子供でも知っている。つまり、とにかく。

　＿＿＿＿その日、私はマンホールに落ちた。