35話 ページ37
一方その頃、食堂では兄たちによる家族会議が開かれていた。
「えー、こほん。第342回A会議を開催する。今回の議題は『どうしたらAは部屋から出てきてくれるのか』」
突如オヤジとケンカし、部屋にこもってしまったA。
心配で心配でたまらない兄たちはみんな頭を抱えてしまった。
なんと驚くことにこの会議、隊長格も含めたほぼ全員が参加している。
「食べ物で釣る作戦は？」
「ダメだ。反応がなかった」
サッチは肩をすくめた。
先ほどサッチは、Aの大好物を作って部屋まで届けてやったのだ。
しかし、いくらドアをノックして「A〜〜？デザート作ったぞ〜〜？大好きなおにーちゃんと食べようぜ〜〜♡」と言おうが、なんの反応もなかったのだ。
完全に心が折れたサッチは若干涙目だった。
それを見て、大好きな妹分に完全無視されたエースは言った。
「そうか……でも、そのうちトイレに行きたくなって出てくるんじゃ…」
「ばかやろう、それじゃAがいつ出てくるかなんてわかんねーよ。それで出てきたって解決にはなってねぇし」
いくら考えても浮かばない。
すると、それまでずっと静観していたマルコが口を開いた。
「オイ、そもそもなんでAとオヤジがケンカしたのか知ってるやつはいるのかよぃ」
「……………」
長い沈黙。
誰も本当の原因を知らなかったのだった。
さて、その話題の中心Aであるが、まだぐっすりと眠っていた。
兄たちがいくら声をかけて反応しなかった理由は、ただ寝てたからなのである。
すっかり日が沈んだころ、Aはぐうっと背を伸ばしてようやく目を覚ました。
「はぁ〜〜あ。よく寝た」
ベッドから起き上がると、体が固まっていた。思っていたよりも眠ってしまっていたようだ。
これじゃあ夜眠れなくて困っちゃう。今日はオヤジの部屋でお話ししながら夜を過ごそうかな……。
そこまで考えて、ブンブンと頭を振る。
「だめだ、ケンカしてるんだった。」
そう呟いて、気分が下がる。
オヤジのことが大大大大好きなA。ケンカして嬉しいわけがなかった。
「オヤジ………」
Aは一つ大きなため息をつくと、兄たちがいくら頑張っても開けられなかったドアを開けた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1771人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ONEPIECE」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ピーちゃん - とても面白くて愛らしかったし (2022年10月28日 20時) (
レス) @page42 id: e9f23f5dc7 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - ３４５回も会議やっての笑った!!!めちゃ面白い!!!これからも頑張ってください!!! (2022年10月13日 12時) (レス) @page37 id: 407d8a27ca (このIDを非表示/違反報告)
センカ(プロフ) - tottemo_ringoさん» ありがとうございます！！夢主ちゃんはわがまま末っ子気質なもので困りますね笑好きになっていただけてとても嬉しいです…！優しいお言葉とても力になります！ (2022年8月22日 0時) (レス) id: cff8d00b59 (このIDを非表示/違反報告)
tottemo_ringo(プロフ) - 今日初めて読みました。最初は主ちゃんに対して、なんやこの子！めっちゃわがままやんけ！といい印象ばかりではなかったものの、期待し読んでいくうちに完全にオチました。主ちゃんの性格と、周りの関係や反応がとても好きです。無理せず、更新お願いしたいです！！ (2022年8月9日 3時) (レス) @page37 id: 4137b5ba4e (このIDを非表示/違反報告)
センカ(プロフ) - みなさま大変お久しぶりです。長い間こちらの作品を放置しておりましたが、最近になってちょっとだけ書きたくなって戻ってきました。今後続けて連載していくかは未定です。書きたくなった時だけ書きます。あまり期待せずに暇つぶし程度に見てくださると嬉しいです。 (2022年8月6日 20時) (レス) @page36 id: cff8d00b59 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：センカ | 作成日時：2019年8月18日 18時
