28話 ページ29
それからしばらくみんなしみじみと黙っていたが、ふいに誰かがポツリと言葉を漏らした。
「今はいいけど、いつかAも誰かを愛して、誰かの女になるんだよな…」
「「「……は？」」」
天下の白ひげ海賊団隊長たち、とんだまぬけ面である。
「そんなこと考えたこともなかったぜ」
「でも、そうだよなぁ。あいつだっていつか、恋人ができて……結婚するかもしれないし」
その言葉に全員が酒を置いた。
グッと眉を寄せ、口々に話し出す。
「いやいや、俺はその辺のやつじゃあ認めねーよ」
「そうだ！せめて俺らよりいい男じゃねーと」
「いやいや、俺らじゃダメだ。オヤジくらいの男じゃなきゃあ任せらんねーよ」
「ばかやろう、そんなやついるかよ」
当の本人、A不在であーだこーだと将来の彼氏について語る男たち。完全なシスコンである。
冷静な長男、マルコはその騒ぎから外れ、一人はあ、とため息をこぼした。
「一番心配性な長男は参加しねぇのかい？」
「お前も参加してねえじゃねえかよい、イゾウ」
「はは、違いねぇ」
みんなの輪から外れ、すっかり黒で潰れた海を眺めながら二人で話す。後ろでは盛り上がりすぎて大騒ぎになっていた。
「まあ、俺も思うことはあるがな…」
「そりゃあ俺もあるさね。だが、Aが選んだ男ならある程度は認めてやるさ。そうだろう？」
マルコは同意を示すようにククッと喉の奥で笑った。
もちろん心配が無いわけではない。
が、Aの周りにはオヤジという世界一のいい男や、立派な……いや、そうでない奴もいるが……兄もいる。
Aがロクでもないやつを選ぶとは到底思えなかった。
「ま、Aを泣かせるようなやつには容赦しねぇけどよぃ」
「はは、そんときゃ家族総出で殴り込みだな」
Aはそんな話をされているとは思いもせず、お気に入りのパジャマでぐっすり夢の中だ。
その安らかな寝顔を守れるのなら、兄たちはなんだってする。
「Aのためなら死ねる」なんて言っては、Aに笑われているが、もちろん本当のことだ。
「俺はお姫さんが幸せになりゃあなんでもいいさ。それがこの船の一番の幸せだろう？」
「ああ、違いねぇだろうよい」
そうして今日も、静かな夜が過ぎていく。
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ピーちゃん - とても面白くて愛らしかったし (2022年10月28日 20時) (
レス) @page42 id: e9f23f5dc7 (このIDを非表示/違反報告)
なつみ - ３４５回も会議やっての笑った!!!めちゃ面白い!!!これからも頑張ってください!!! (2022年10月13日 12時) (レス) @page37 id: 407d8a27ca (このIDを非表示/違反報告)
センカ(プロフ) - tottemo_ringoさん» ありがとうございます！！夢主ちゃんはわがまま末っ子気質なもので困りますね笑好きになっていただけてとても嬉しいです…！優しいお言葉とても力になります！ (2022年8月22日 0時) (レス) id: cff8d00b59 (このIDを非表示/違反報告)
tottemo_ringo(プロフ) - 今日初めて読みました。最初は主ちゃんに対して、なんやこの子！めっちゃわがままやんけ！といい印象ばかりではなかったものの、期待し読んでいくうちに完全にオチました。主ちゃんの性格と、周りの関係や反応がとても好きです。無理せず、更新お願いしたいです！！ (2022年8月9日 3時) (レス) @page37 id: 4137b5ba4e (このIDを非表示/違反報告)
センカ(プロフ) - みなさま大変お久しぶりです。長い間こちらの作品を放置しておりましたが、最近になってちょっとだけ書きたくなって戻ってきました。今後続けて連載していくかは未定です。書きたくなった時だけ書きます。あまり期待せずに暇つぶし程度に見てくださると嬉しいです。 (2022年8月6日 20時) (レス) @page36 id: cff8d00b59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：センカ | 作成日時：2019年8月18日 18時
